コクガン(英語表記)Branta bernicla; brant goose

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コクガン」の意味・わかりやすい解説

コクガン
Branta bernicla; brant goose

カモ目カモ科。全長 61cm。頭部から胸部にかけて黒色で,上頸部には白と黒の縞模様の頸環斑がある。腹部は黒色の太い横帯と白色の縞模様で,下尾筒は白い。背,は黒褐色,尾羽は黒く,上尾筒は白色。,脚も黒色。北極圏の大陸沿岸島々の沿岸部のツンドラ地帯に広く繁殖分布し,北半球のおもに中緯度地域に南下して越冬する。ほかのガン類と異なり,越冬する鳥は沿岸海域かその近くにある大きな湖に生息し,潮間帯海藻アマモなどおもに植物質をとっている。日本には,秋に北海道の東部沿岸に多数渡来し,大部分が北海道南部や本州北部まで南下して内湾や沿岸で越冬している。西日本には少ない。1971年に国の天然記念物に指定されている。(→ガンカモ類渡り鳥

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コクガン」の意味・わかりやすい解説

コクガン
こくがん / 黒雁
brent
brant
[学] Branta bernicla

鳥綱カモ目カモ科の鳥。北極圏に広く分布し、4亜種がある。日本ではおもに北海道、青森湾松島湾など北部の江湾に小群で渡来するが、南は四国、博多湾(はかたわん)、さらには韓国沿岸まで記録されている。しばしばオオハクチョウとともに海上で観察されるのは、両種がともに海草のアマモを好んで食べるためである。北ヨーロッパでは1950年代にこの海草が伝染病でほとんど全滅し、コクガンの危機があった。全長61センチメートルと小形で嘴(くちばし)が小さく、黒色と灰色主体で下腹付近は白く、頸側(けいそく)に白い線斑(せんはん)がある。

黒田長久


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