コウカンチョウ(英語表記)Paroaria coronata; red-crested cardinal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コウカンチョウ」の意味・わかりやすい解説

コウカンチョウ
Paroaria coronata; red-crested cardinal

スズメ目フウキンチョウ科。全長 16cm。雌雄とも羽色が同じ。冠羽(→羽冠)から顔,喉にかけての羽毛が鮮やかな赤色でたいへん目立つ。背,,尾は灰黒色,胸から腹は白色ショウジョウコウカンチョウは姿がよく似ていて,名にコウカンチョウとつくが,別科の鳥で,類縁関係がごく近いというわけではない。ボリビア東部からアルゼンチン北部,ブラジル南部,ウルグアイにかけての熱帯,亜熱帯地域に広く分布する。開けた林や低木林,あるいは乾燥した林に生息し,地上で種子果実昆虫などをとる。ブラジルの生息地以外の地域やハワイ,プエルトリコなどに移入されて野生化している。日本でも羽色が派手なことから飼鳥として輸入されており,その逃げ出したものが一部の地方で繁殖した記録がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「コウカンチョウ」の意味・わかりやすい解説

コウカンチョウ (紅冠鳥)
red-crested cardinal
Paroaria coronata

スズメ目ホオジロ科の鳥。全長約19cm,モズより少し小さい。羽色が美しいので,古くから飼鳥として輸入されている。雄は際だった冠羽をもち,頭部と冠羽,のど,上胸部は紅赤色である。背面は灰青色,腹面は白っぽい。雌は羽色が雄よりにぶい。幼鳥は頭部の紅赤色がなく,淡い褐色をしている。ブラジル南部からボリビアおよびアルゼンチン中部にかけて分布する。湿地性の低木林地帯にすんでいて,群れはつくらない。じょうぶな鳥で,寒さにも強く,雑草の種子を食べるので飼いやすい。禽舎きんしや)に飼えば巣引も容易で,年に2~3回産卵する。1腹はふつう3卵。性質は荒いので,他の鳥と小さい籠に同居させることはできない。餌はカナリア用のものを使い,エゴマとかナタネを混ぜる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウカンチョウ」の意味・わかりやすい解説

コウカンチョウ
こうかんちょう / 紅冠鳥
red-crested cardinal
[学] Paroaria coronata

鳥綱スズメ目ホオジロ科の鳥。同科コウカンチョウ属5種中の1種。全長約19センチメートル。頭、顔、のどは美しい赤紅色、とくに同色の羽冠はみごとである。以下の背面は青灰色、下面は白。南アメリカのマト・グロッソ、ボリビア、パラグアイチャコパンパなどの高原に分布する。1928年にはハワイに導入され、定着している。主として草本の種子を好むが、昆虫、クモも食べる。じょうぶな鳥で禽舎(きんしゃ)でよく繁殖する。なお、和名のよく似たショウジョウコウカンチョウの雄は全身深紅色で、澄んだ鳴き声と変化に富むメロディが美しい。北アメリカ東部原産。全長約20センチメートル。コウカンチョウとは近縁ではあるが種も属も異なる。

[坂根 干]

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