コア・コンピタンス(読み)こあこんぴたんす(英語表記)core competence

翻訳|core competence

知恵蔵 「コア・コンピタンス」の解説

コア・コンピタンス

中核能力ともいう。企業の中核能力は、大別して技術ノウハウと事業プロセスにかかわる能力に分けられる。特に製造業では技術ノウハウの重要度が高く、製品のコア技術と呼ばれているものがそれにあたり、その企業にとって最も重要な製品の製造に見いだすことができる。中核能力を基礎に中核製品が作られ、この中核製品を用いて最終製品が製造されるという関係にある。例えば、コア技術であるLSI技術によってチップが、高密度実装技術によってポータブルPCが製造される。これらに、さらに得意技術であるマルチメディア技術やモバイル技術などを用いて最終製品であるサーバーやパーソナル情報機器を製造している。中核能力たるに十分なものかどうかは、その適用範囲の広さ、模倣の困難性、顧客にとっての重要性という観点から評価されるが、つまりライバルに対する自社強みとして十分なものであるかどうかである。今日、話題となっているアウトソーシングの戦略的活用も、限られた資源を自社のコア・コンピタンスの強化に振り向けるため、事業の絞り込みを進め、事業プロセスの活動について極力アウトソーシングに委ね、競争優位を図ろうとするものである。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2008年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コア・コンピタンス」の意味・わかりやすい解説

コア・コンピタンス
core competence

核心部 (コア) となる独自の能力 (コンピタンス) の意。企業経営においては,他社追随を許さない独自の技術や知識,経験,つまり中核的,継続的な利益をもたらしている能力をさす。 G.ハメルと C.K.プラハードはその著書『コア・コンピタンス経営』のなかソニーの小型化技術,フェデラル・エクスプレスの物流管理,モトローラの無線通信技術などを例にあげている。多角化戦略への反省として,企業本来の得意分野に重点をおき,再生を目指す考え方を示す用語となっている。

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マーケティング用語集 「コア・コンピタンス」の解説

コア・コンピタンス

企業の競争力を支える他社にはまねのできない技術やノウハウのこと。
マーケティング戦略においていかにして他者との差別化を図ってゆくかのよりどころととなる要素。自動車業界であればエンジン。パソコン業界であればセキュリティ技術など競合と比べて秀でている部分に焦点をあてて、マーケティング・ミックスを展開してゆくことで、ブランドエクイティの向上を狙います。

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とっさの日本語便利帳 「コア・コンピタンス」の解説

コア・コンピタンス

競合他社が真似できないような、自社の中核となる能力。競争優位に立つための技術、ビジネスモデルなど。〈活用例〉競争に勝つには、まず自社のコア・コンピタンスを作る必要がある

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