コア(コンピュータ用語)(読み)こあ(英語表記)core

翻訳|core

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

コア(コンピュータ用語)
こあ
core

本来芯(しん)を意味することばであるが、コンピュータ用語では、磁心および磁心記憶装置のことをいう。磁気コアmagnetic coreともいう。磁心とはドーナツ状に成形した磁性材料フェライト)のことで、これを右向きに磁化するか、左向きに磁化するかによって、0または1を表すことができる。磁心を磁化させるには、ドーナツに導線を巻き付けて、任意の方向に電流を流せばよいが、コンピュータの記憶用磁心は、直径0.5ミリメートル前後という小型のため、電線をドーナツの穴に通すだけの構造となる。磁心に記憶された内容は、そのままで読み出すわけにはいかない。磁化の変化に伴う起電力の変化の形で読み出しを行わなければならない。このため、磁心を0にクリアする電流を流す。すると、記憶内容が1の場合には、磁化が変化するから、別の電線に起電力が生じて信号が出る。磁心記憶では内容を読み取るとそれが破壊されるので、記憶を保持するためには、改めて、読み取った内容を記録しなおさなくてはならない。

 磁心を何十万個も集めてコンピュータの記憶装置として動作させるのに、アドレスを決めるための技法情報読み書きの技法などが種々開発された。磁心記憶は微小化に限界があるため、高速化にも限度があり、さらに高価であるため、現在ではIC記憶や磁気バブル記憶に席を譲ったが、長い間コンピュータの主記憶装置として使われた。

[小野勝章]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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