ゲルディモンキー(英語表記)Goeldi's monkey
Callimico goeldi

改訂新版 世界大百科事典 「ゲルディモンキー」の意味・わかりやすい解説

ゲルディモンキー
Goeldi's monkey
Callimico goeldi

新世界ザルは霊長目キヌザル科とオマキザル科の二つのグループに分けられるが,ゲルディモンキーはキヌザル科に入れられたり,オマキザル科に入れられたり,また最近では独立の科とみなされるなどさまざまな扱いを受けてきた。頭胴長20cm。外見上は黒いマーモセットという感じで,手足つめが足の親指を除いてすべてかぎづめである点はキヌザル科の特徴であるが,歯式は,で,オマキザル科の特徴を示している。このように,ゲルディモンキーは新世界ザルの二つのグループの中間的な形態を備えており,新世界ザルの進化を考えるうえで貴重な存在である。生息域はコロンビア南部からボリビア北部にかけての竹林や二次林などで,昆虫果実を食べて生活している。単位集団は1頭ずつのおとなの雄と雌に子どもを含んだ小集団で,各集団は互いに比較的大きな距離を保ち,それぞれテリトリーを構えて生活しているらしい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲルディモンキー」の意味・わかりやすい解説

ゲルディモンキー
げるでぃもんきー
Goeldi's monkey
[学] Callimico goeldii

哺乳(ほにゅう)綱霊長目マーモセット科の動物。1属1種。新世界ザルはマーモセット科とオマキザル科に二分されるが、ゲルディモンキーは両科の特徴をあわせもつことでよく知られる。たとえば、小形(リスぐらいの大きさ)で鉤(かぎ)づめをもつ点は前者に似ているが、歯式は

の36本で後者と共通である。このような理由から、本種の分類上の位置は揺れ動いてきたが、生態学的特性をも含めて、ここではマーモセット科の一員として扱う。アマゾン上流域に広く、しかし薄く分布する。二次林を好み、果実と昆虫を主食としている。数頭の小集団で暮らすが、生態的にはまだ不明な点が多い。

[西邨顕達]

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