化学辞典 第2版 の解説
ゲルアルト(ジェラール)
ゲルアルトジェラール
Gerhardt, Charles Frédéric
フランスの有機化学者.ストラスブールに生まれる.父は鉛白工場の経営で成功した企業家.カールスルーエ工業学校やライプチヒ実業学校などで学んだ後,1837~1838年ギーセン大学でJ. Liebig(リービッヒ)について化学を本格的に学んだ.ついでLiebigの勧めでパリに出てJ.B.A. Dumas(デュマ)など当時の一流のフランス化学者と交わった.1841年,Dumasの推薦により,モンペリエ大学理学部にポストを得ることができた.1843年に盟友となるA. Laurent(ローラン)に会い,すでにデータの蓄積が十分に多くなった有機化合物の化学式にもとづいて,二人で当時混乱していた化学式と原子量の改革に着手した.それらは同族列の考え方とともに,かれの最初の著書Précis de chimie organique(1845年)で体系化された.1851年には,有機化合物を四つの無機化合物(水,アンモニア,水素,塩化水素)の誘導体としてとられる型の理論を提唱した.1852年その理論にもとづいて,非対称の無水有機酸を合成し,かれの評価は上がり,1854年ストラスブール大学に化学と薬学の両教授職を得ることができたが,不幸にして2年後に急死した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報