ゲラルド(英語表記)Gherardo

改訂新版 世界大百科事典 「ゲラルド」の意味・わかりやすい解説

ゲラルド(クレモナの)
Gherardo
生没年:1114ころ-87

12世紀にギリシアアラビアの科学文献を,アラビア語からラテン訳した最大の翻訳者。ラテン名ゲラルドゥスGerardus。スペイン語読みでヘラルドともいう。イタリアのクレモナCremonaに生まれたが,アラビアの学術を求めて,スペインのトレドに赴き,そこで没するまで,アリストテレスユークリッドアルキメデス,ペルゲのアポロニオスプトレマイオスガレノスフワーリズミーファーラービー,イブン・シーナー,イブン・アルハイサムなどの第一級の著作を含む87種にのぼる文献を翻訳した。この空前絶後ともいうべき翻訳活動によって,西欧世界はそれまで未知にとどまっていた優れたギリシア,アラビアの科学知識に接することができるようになったのである。
中世科学
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のゲラルドの言及

【中世科学】より

…スペインのトレドやシチリア,および北イタリアの諸都市において,ユークリッド,アルキメデス,プトレマイオス,アリストテレスの自然学,フワーリズミー,イブン・シーナー,イブン・アルハイサムなどの第一級の科学文献がラテン語に訳され,後の〈科学革命〉にいたる西欧科学の知的基盤をつくった。この〈12世紀ルネサンス〉の翻訳者として,クレモナのゲラルド,バースのアデラード,カリンティアのヘルマンHermann von Karinthia,チェスターのロバートRobert of Chesterらが知られているが,とくに70種以上の科学文献をアラビア語からラテン訳したゲラルドの功績は大きい。 13世紀には,このようにしてとり入れられたギリシア,アラビアの科学の遺産の上に,ようやく西欧科学の独自な活動が開始される。…

※「ゲラルド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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