ケルロイター(Otto Koellreutter)(読み)けるろいたー(英語表記)Otto Koellreutter

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ケルロイター(Otto Koellreutter)
けるろいたー
Otto Koellreutter
(1883―1972)

ドイツの国法学者。ハレ、イエナの各大学教授を経て、1933年にミュンヘン大学教授となり、1949年に退職した。ワイマール時代に民族的保守主義の国法学者として自由主義的法実証主義を論難し、「民族的法治国家」を主張して、1930年国会選挙後ナチスを支持する数少ない著名な国法学者の一人となる。同時に実務に密着した行政法にも強い関心をもち続け、行政法専門学術誌の編集を担当する。ナチス政権成立後、国法学会の重鎮として、一般国家学、憲法、行政法の三部作の綱要を著す。ナチスの法治国家の漸次的破壊を体験し、さらに東京帝国大学客員教授(1938~1939)を経て、ナチスに批判的となり、『英独における法と裁判官』(1943)でナチスを非難した。戦後、ふたたび一般国家学、公法、行政法の三部作の綱要を著すが、学界の反応は冷ややかであった。

[安 世舟]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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