日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ケルスス(Aulus Cornelius Celsus)
けるすす
Aulus Cornelius Celsus
(前30ころ―後45ころ)
ローマの百科事典作家。皇帝ティベリウス(在位14~37)時代に活躍した。その著作『技術』Artesは、農業、医術、軍事技術、雄弁術、哲学、法律の六つを扱ったといわれるが、現存するのは『医学について』Dere medicina8巻だけである。その内容は、食餌(しょくじ)療法と治療学と病理学(第1~2巻)、内臓の病気(第5~6巻)、外科の病気(第7~8巻)となっている。ことに外科術の部分が貴重で、顔と口の整形手術、鼻の茸腫(じょうしゅ)の除去、甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)の除去、結石の切開、扁桃腺(へんとうせん)の除去などを述べ、そのほかケルスス禿瘡(とくそう)(脱毛症の一種)の説明もある。
[平田 寛]