ケネディラウンド

精選版 日本国語大辞典 「ケネディラウンド」の意味・読み・例文・類語

ケネディ‐ラウンド

〘名〙 (Kennedy Round) 一九六三年五月、ガット閣僚会議でアメリカが主張した関税の一括引下げ方式のこと。ガット‐ケネディ方式。

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改訂新版 世界大百科事典 「ケネディラウンド」の意味・わかりやすい解説

ケネディ・ラウンド
Kennedy Round(of multinational trade negotiations)

GATT(ガツト)が主催した第6回一般関税交渉の通称。1964年5月から67年6月まで3年にわたりジュネーブを中心に交渉が行われ,参加48ヵ国の調印で成立した。それ以前に行われた5回の一般関税交渉に比べ,交渉時間,参加国数,交渉の分野など,あらゆる面でけた違いに大規模であった。アメリカのケネディ大統領が1962年に交渉を提唱し,交渉の基礎となる通商拡大法を成立させたので,一般に〈ケネディ・ラウンド〉と呼ばれる。なおラウンドは〈一めぐり,一続き〉の意で,関税一括引下げ交渉の開始から終りまでの一連の交渉をさしている。

 ケネディ・ラウンドの意義は,第2次大戦後一貫してGATTが推進してきた無差別原則による自由貿易主義がさらに強化されたことにある。これを提唱したアメリカの最大のねらいは,EECの成立によって,その対外共通関税がアメリカ製品を締め出す懸念払拭(ふつしよく)することにあった。当初の50%一括引下げからは後退したものの,関税譲許品目数は約3万品目,平均引下げ率は35%に達した。関税大幅引下げのほかに,農産物貿易の拡大の問題非関税障壁NTB)除去の問題,発展途上国の貿易拡大の問題などが積極的に検討された。
GATT →東京ラウンド
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栄養・生化学辞典 「ケネディラウンド」の解説

ケネディラウンド

 ガットの関税一括引き下げ交渉で,1964年から1967年にかけて行われ,農産物貿易問題も取り上げられた.

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世界大百科事典(旧版)内のケネディラウンドの言及

【GATT】より

…5回にわたる関税交渉では,まず2国間の要求品目について相互に関税を引き下げ,この譲許税率を締約国全部に適用して全体の関税障壁を漸次軽減する方法がとられた。これに対し,1964年5月から67年6月まで行われたケネディ・ラウンド交渉では,関税一括引下げ方式が採用され,鉱工業製品の関税率を5年間に50%引き下げることを目指した。アメリカのリーダーシップのもとで行われたケネディ・ラウンドは関税引下げについて大きな成果をあげ,工業製品の関税引下げ率は平均33%となった。…

【関税】より

… GATTは,自由貿易体制の推進のため,1947年の第1回から73‐93年の第8回まで,大規模な国際通商交渉(一般関税交渉)を行ってきた。第6回までは,関税引下げ交渉が中心であったが,なかでも1964‐67年の第6回の一般関税交渉(一般にケネディ・ラウンドと呼ばれる)は,平均35%の関税引下げを行うという画期的なものであった。第7回の東京ラウンドでは,関税引下げのみならず,非関税障壁の撤廃,農産物問題,開発途上国への優遇措置など幅広い交渉が行われた。…

【非関税障壁】より

…非関税障壁のなかには,輸出入を抑制しようという意図をもって行われる政策手段だけでなく,もともとは他の目的をもっている政策や規定が結果として輸出入の障害となっているものも多く含まれている。 非関税障壁が大きな関心を集めだしたのは1964年から67年にかけてのGATT(ガツト)の第6回貿易交渉(ケネディ・ラウンド)の前後からである。すなわち,第2次大戦後,GATTによる関税交渉によって関税率が徐々に引き下げられてきたが,とくにケネディ・ラウンドにおける大幅な関税一括引下げは,それまで関税の陰に隠れてあまり目立たなかった非関税障壁を貿易阻害要因として注目させるようになった。…

【貿易自由化】より

…これよりやや遅れて,日本でも60年以降に貿易自由化が進められ,63年にはGATT11条国となり,翌64年にはOECDへの加盟と原則的に為替取引を自由に行うIMF8条国への移行を決めた。60年代の貿易自由化は関税の引下げを中心に進展したが,なかでも63年に始まり67年に妥結したケネディ・ラウンド関税一括引下げ交渉は,それまでの多角的貿易交渉のうち最も大がかりなもので,鉱工業製品の関税率は平均33%引き下げられるという画期的な成果をあげた。次いで71年に始まる新国際ラウンド(東京ラウンド)では,関税引下げのほか非関税障壁の軽減撤廃や農産物貿易の自由化問題がとりあげられることとなった。…

※「ケネディラウンド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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