化学辞典 第2版 「ケイ皮酸」の解説
ケイ皮酸
ケイヒサン
cinnamic acid
3-phenyl-2-propenoic acid.C9H8O2(148.16).シス形とトランス形が考えられるが,シス形はアロケイ皮酸(allocinnamic acid)といわれ,不安定で,普通,トランス形として存在する.天然には,ソゴウ香油中に遊離またはエステルの形で,またトルーバルサムやペルーバルサム中にベンジルエステルとして含まれる.ベンズアルデヒド,無水酢酸,および酢酸ナトリウムの混合物を加熱するパーキン反応によって合成される.無色の針状晶.融点133 ℃,沸点304 ℃.エタノール,エーテルに可溶.アロケイ皮酸は,コカの葉にあり,融点の異なる(32,42,58,68 ℃)四つの多形が知られている.おもにエステルの形で香料や化粧品に用いられる.[CAS 140-10-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報