日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グーテンベルク(Erich Gutenberg)
ぐーてんべるく
Erich Gutenberg
(1897―1984)
ドイツの経営経済学者。1921年ハレ大学で博士号を、28年ミュンスター大学で教授資格をそれぞれ取得。経営監査士として実業界で活躍したのち、38年からクラウスタール鉱山大学、40年からイエナ大学、47年からフランクフルト大学の各教授を歴任。51年、ドイツ経営経済学の重鎮シュマーレンバハの後任としてケルン大学教授となり、66年定年退職した。59年(昭和34)訪日。彼は主著『経営経済学原理』(第1巻「生産編」1951、第2巻「販売編」1955、第3巻「財務編」1969)によって経営経済学に近代経済学の成果を大幅に導入し、第二次世界大戦後のドイツ経営学に新風を吹き込んだ。また理論学派を復興して、当時優勢であった技術論派との間に3次にわたる大論争を展開し、第一人者としての地位を不動のものとした。その学風は、理論学派としての性格を保ちつつも、経営管理の問題を十分に取り入れ、実践理論としてもドイツでは類をみない高水準のものとなっている。日本の学界へも大きな影響を与えた。
[森本三男]
『溝口一雄他訳『経営経済学原理』全3巻(1957~77・千倉書房)』▽『万仲脩一著『グーテンベルク学派の経営経済学』(1983・千倉書房)』