精選版 日本国語大辞典 「グレコ」の意味・読み・例文・類語
グレコ
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翻訳|El Greco
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16世紀スペイン最大の画家。本名はドメニコス・テオトコプロスDomēnikos Theotokopoulos。クレタ島のカンディアに生まれたところからエル・グレコ(ギリシア人の意)の通称で知られる。1566年のカンディアの記録にはすでに職業画家(マイストロ)とあり,ポスト・ビザンティン様式のイコンの画家であったと思われる。1566-67年ころにベネチアに渡り,70年にはローマへ,そして76-77年にスペインに移ってトレドに定住,ここで生涯を終えた。最近の相次ぐ新資料の発見や研究によって,イタリア時代のグレコが,ティツィアーノ,ティントレット,バッサーノ,コレッジョ,ミケランジェロなどの作品から多くを学んで芸術形成をとげたのはもちろん,マニエリスム芸術論と新プラトン主義に通じたウマニスト(人文主義者)として形成されたこと,そして,スペイン・カトリックの大本山があるトレド定住後は,教会の有力者であると同時に当時最高の知識人であった人たちをパトロンに得て,トリエント公会議(1545-63)後の,プロテスタンティズムに対するカトリシズムによる対抗宗教改革のもっとも代表的な画家となったことが明らかになりつつある。グレコの色調と技法は,終生ベネチア派とイタリア・マニエリスムにとどまったといえる。しかし彼の宗教画特有の対抗宗教改革的な主題解釈(無原罪のマリア礼賛や諸聖人の図像),画面を支配する奥行きのない垂直的な画面構成,激しい明暗の対比,炎のようにゆらめく長身化された人物像,それらが混然と織り成す神秘的な疑似空間などが現れるのはトレド定住後で,そうした〈スペイン化〉は年とともに強化され,神秘的なグレコ絵画が成立するのである。グレコはまた,その写実的な肖像画群でスペイン肖像画の先駆をなしたばかりか,彫刻も手がけ,建築論や絵画論を残したことが記録されている。
執筆者:神吉 敬三
フランスの女性シャンソン歌手。モンペリエに生まれ,7歳でパリに出る。母や姉がレジスタンス運動でナチスの収容所に送られたため15歳で自立。第2次世界大戦後,黒のセーターにズボンという姿で実存主義者のマスコットとして話題になり,人前で歌い始め,1951年に《私は日曜日が嫌い》をドービル・コンクールで歌い,エディット・ピアフ賞を,52年《ロマンス》でディスク大賞を獲得して名声を確立した。歌手としてだけでなく,1956年の《恋多き女》など映画にも出演して成功を収めた。歌詞に重きを置いた知的なシャンソン歌手として,男性のイブ・モンタンと並び戦後の最大のスターの地位を守り続けている。
執筆者:中村 とうよう
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1541~1614
クレタ島生まれのスペインの画家。イタリアでヴェネツィア派に学び,1577年以来トレドに定住。激しい明暗の対比,顔や姿の歪形,神秘的な色彩などで独自の画風を開いた。宗教画,肖像画が多い。代表作「オルガス伯の埋葬」「聖母昇天」「自画像」など。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…同様の傾向がトリエント公会議によってカトリック世界の公式態度となった後にスペインに現れた。それがエル・グレコである。彼は,クレタ島に生まれ,ポスト・ビザンティン様式の画家として形成されたと思われる。…
…しかし,77年ころ一人の外国人画家がこの都市に住みついた。エル・グレコである。クレタ島生れの彼の中にある神秘主義は,16世紀カスティリャ社会の高揚した宗教感情とトレドにおいて深く結びつき,いまに残る数多くの傑作として結実した。…
…ベロネーゼもまた,大胆な仰角法や人工的な色彩を用いたものの,終始ルネサンス的現実性から離れることはなかった。一方,1566‐67年ベネチアですごしたギリシア人画家エル・グレコには,明らかな非合理性,空間の無視,人物の歪曲,神秘主義がみとめられる。またティントレットは,光と闇,強い色彩,意表をつく角度や,極端な左右不均衡の構成を用いることで,合理性と自然らしさの限界をつき破り,主観的表現の深みに達した。…
※「グレコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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