グリーン・ツーリズム(読み)グリーンツーリズム

百科事典マイペディア 「グリーン・ツーリズム」の意味・わかりやすい解説

グリーン・ツーリズム

都会住民農山村に滞在し,自然文化を体験する旅行の形態ドイツ,フランス,英国などのヨーロッパ諸国で1970年代以降普及し,都市農村交流,農村地域の収入増加などに成果を上げている。日本では特に中山間地域の活性化策として農林水産省が積極的に取り組み,1995年4月には〈農山漁村滞在型余暇活動促進法〉が施行された。特に,農作業などを体験できる体験民宿の整備に重点が置かれ,同法に基づく登録民宿は1997年12月までに851件に達した。市民農園の実施,朝市の開催,特産物を使ったレストラン,農産物直売所や体験工房の設置など,実施されている基盤整備の内容は多彩。

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知恵蔵 「グリーン・ツーリズム」の解説

グリーン・ツーリズム

農山漁村を訪問して、その自然と文化、人々との交流をありのままに楽しむ余暇形態。物見遊山型の観光的余暇とは違って、比較的安価にゆったりと過ごすところに特徴がある。都市住民は自然体験や農業体験、加工体験などの農村の暮らしを学び、あるいは農村伝来の食文化に舌鼓を打つ。農村住民は都市住民に対して農産物や加工品だけでなく、農家レストランや宿泊サービスを提供する。グリーン・ツーリズムは農村にとって農家経済の多様化を意味している。ただし近年の日本型グリーン・ツーリズムは、施設依存、メニュー型体験活動への画一化傾向が見られ、本来の姿から遠ざかっているという批判もある。

(池上甲一 近畿大学農学部教授 / 2007年)

グリーン・ツーリズム

農村や山村などで自然や文化と親しむのがグリーン・ツーリズム。自然派志向の家族の増加や、受け入れ側の民宿が自治体や農協や漁協などの協力を受けて、野菜の種まきや収穫などの体験メニューを充実させていることが、人気の背景にある。今後、人気定着のカギは受け入れ側の充実で、高齢化が進む農村や山村では後継者づくりが課題となるほか、地域の優れた景観の保護や特産物づくりなどが欠かせない。ブルー・ツーリズムは、島や沿海部の漁村に滞在して、海辺での生活を体験する旅。国土交通省が推進し、新しい余暇活動の提案や新しいサービス産業の創出、地場産業の育成を狙いとしている。

(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)

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農林水産関係用語集 「グリーン・ツーリズム」の解説

グリーン・ツーリズム

農山漁村地域において自然・文化、農林漁業とのふれ合いや人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。
ヨーロッパ諸国では、既に国民の間にグリーン・ツーリズムが定着しており、緑豊かな農山漁村が育んできた自然、生活・文化ストックを広く都市の人々に開放し、これら市民が「ゆとり」や「やすらぎ」のある人間性豊かな農山漁村での余暇活動を楽しんでいる。

出典 農林水産省農林水産関係用語集について 情報

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