グッドイヤー(読み)ぐっどいやー(英語表記)Charles Goodyear

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グッドイヤー」の意味・わかりやすい解説

グッドイヤー
ぐっどいやー
Charles Goodyear
(1800―1860)

加硫ゴム発明したアメリカ人。金物商の家に生まれる。1830年、父との共同経営が破産生涯借金返済のために働くが、1834年からゴム改質法の発明に熱中した。当時使用されていたゴムは生ゴムで、夏期には溶解したり相互に粘着したりしてきわめて使いにくいものであった。友人や親類の資金援助で断続的に実験を続け、1838年に硫黄(いおう)を混入するヘイワードNathaniel M. Hayward(1808―1865)の方法を知る。グッドイヤーは翌1839年に誤って硫黄を混入したゴムをストーブの上に落としたが、熱せられてもこのゴムは溶けなかった。これに着想を得て、生ゴムへの硫黄と熱の作用を安定した品質のゴムが得られるまで調べ直し、特許を取得した。これによってゴム工業は確立したが、グッドイヤー自身はそれまでの借金のために特許実施権を安く与えざるをえず、生涯にわたって貧窮のうちにあった。

[加藤邦興]

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改訂新版 世界大百科事典 「グッドイヤー」の意味・わかりやすい解説

グッドイヤー
Charles Goodyear
生没年:1800-60

アメリカの発明家。無学から出発し,天然ゴムの品質欠陥の改良専心,1839年,生ゴムと硫黄・鉛白混合物をストーブのわきに放置しておいたことから偶然ゴムの硬化現象を発見,のちのゴム工業の技術的基盤をつくった。イギリスのゴム工場経営者ハンコックThomas Hancock(1786-1865)は,この技術を一部改良し〈加硫valcanisation〉と命名し,1843年イギリスの特許を得た。グッドイヤーの加硫法は翌年アメリカの特許となったが,後半生は特許をめぐる訴訟に明け暮れ,みずからの発明から利益を得ることなく貧苦のうちに没した。彼の子チャールズCharles(1833-96)の経営したゴム会社はグッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー社の前身となった。
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百科事典マイペディア 「グッドイヤー」の意味・わかりやすい解説

グッドイヤー

米国の発明家。1839年生ゴムと硫黄・鉛白の混合物がストーブのそばで硬化現象を生じているのを発見。その後独自の加硫法を発明しゴム工業の技術的基礎をつくった。しかし,彼は特許権をめぐる紛争に巻き込まれ,多くの借財を残して死んだ。息子のチャールズ・グッドイヤー〔1833-1896〕はゴム会社(グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー会社の前身)を経営し,製靴事業の機械化でも成功した。
→関連項目アクロンゴム

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世界大百科事典(旧版)内のグッドイヤーの言及

【グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー[会社]】より

…1898年セーバーリングFrank Seiberlingによってアクロンに設立された。前身は,ゴム硫化法を発明したチャールズ・グッドイヤーの子チャールズが経営していたゴム会社である。自転車タイヤの製造からスタートし,まもなく自動車タイヤに転じ,1916年にはアメリカ最大のタイヤ・メーカーになった。…

※「グッドイヤー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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