精選版 日本国語大辞典 「クーロン」の意味・読み・例文・類語
クーロン
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フランスの土木工学者,物理学者。フランス西部のアングレームの生れ。メジエールの工兵学校に学び,J.C.ボルダと親交を結ぶ。1761年工兵科を副首席で卒業,64年に西インド諸島のマルティニク島勤務を命ぜられ,技術将校としてブールボン城塞(じようさい)の建設などを担当した。健康を害して72年にフランスに戻り,勤務のかたわら応用力学の研究を行う。77年磁気コンパスに関する論文でパリ・アカデミー賞を受けたが,この論文には磁性の定量的扱い,ねじれ力およびねじりばかり,摩擦と流体抵抗など,その後の研究の多くの要素が含まれており,のちのクーロンの弾性体と磁性の理論の萌芽を見ることができる。ロシュフォールの造船所で行った摩擦の実験をまとめた論文は,81年,アカデミーで2回目の賞を受け,彼自身アカデミーの会員に選ばれた。これを契機にパリに永住し,本格的に物理学の研究に専念,1806年までに25編の論文を発表した。なかでもねじれ力とねじりばかりの論文,1785年に始まる電気と磁気に関する7編の論文は有名である。金属線のねじれ力と弾性に関する研究の中で発明した精密なねじりばかりを利用して,85年には同符号の電荷をもつ物体どうしの斥力が距離の2乗に反比例することを確かめ,87年には電荷や磁極による引力,斥力がすべて距離の2乗に反比例することを確認し,クーロンの法則を確立した。
執筆者:田中 国昭
電荷または電気量の国際単位系の単位。記号はC。同時にMKSおよび実用単位系の単位でもある。フランスの物理学者C.A.deクーロンにちなみ名付けられた。1Aの不変電流が1秒間に運ぶ電気量をいい,1C=1A・sである。クーロンはまた電束および電気変位束の国際単位系の単位で,1Cの電荷から発する電束は1Cである。
執筆者:平山 宏之
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(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)
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出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…式で書けば,kを比例定数として,と表される。これをクーロンの法則と呼び,静電気力のことをクーロン力ともいう。1785年C.A.deクーロンが発見したことからこの名があるが,彼以前にもJ.プリーストリー(1767),H.キャベンディシュ(1772)によって見出されていた。…
… その後,磁気の研究は多くの科学者によって研究された。磁極と磁極との間に働く力を定量的に測定し,その大きさが距離の2乗に反比例することを決定づけたのはC.クーロンである(クーロンの法則)。磁場が電流によっても生ずることを発見したのはH.C.エルステッドで,これを定量的に法則化したのはA.M.アンペールである。…
…遠隔作用論の確立とともに,電気力の大きさが距離とともにどう変わるかが問題となった。これに対する解答は,1785‐89年にフランスのC.A.deクーロンによって,逆2乗法則として与えられた(クーロンの法則)。これ以後,与えられた電荷の分布から,その周囲に及ぼされる電気力を計算することが大きな課題となった。…
…(1)摩擦力は接触面に垂直に加えられる力に比例し,物体間の見かけの接触面積とは無関係である,(2)動摩擦力はすべり速度には無関係である,(3)一般に静摩擦力は動摩擦力より大きい。このうち(1)と(2)は,1669年にフランスのアモントンGuillaume Amontons(1663‐1705)が発表し,その後C.クーロンが確認したことから,アモントンの法則またはクーロンの法則と呼ばれている。前述した力学の説明にも(1)を用いたが,これらはもともと潤滑を行っていない面の摩擦について得られた経験則で,つねに厳密に成立するというものではない。…
※「クーロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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