クワ(桑)(読み)クワ

百科事典マイペディア 「クワ(桑)」の意味・わかりやすい解説

クワ(桑)【クワ】

クワ科の落葉樹。日本の山野に自生するヤマグワは高木となるが,養蚕用の栽培グワは年々枝を刈り取るので低木状となる。葉は一般に卵形または心臓形でしばしば3〜5裂し,穂状花序に単性花をつける。雌雄異株のものが多く普通4月に芽吹き5月に開花する。果実は液果状で黒紫色に熟し,食べられる。栽培グワの品種は100種をこしたが多くは次の3系に属する。1.ヤマグワ(山桑)系。北陸〜東北地方に多く,赤木,島の内,遠州高助,剣持など。2.ハクソウ(白桑)系。カラグワ(唐桑)系とも。中国,朝鮮原産のマグワ(シログワ,トウグワ)に由来し,改良鼠返(ねずみがえし),一ノ瀬など。3.ロソウ(魯桑)系。中国原産のログワ(マルバグワ)に由来し,西日本に多い。改良魯桑,赤目魯桑など。繁殖は実生(みしょう)のほかさし木,つぎ木,取り木などによる。樹の仕立て方には地面からの高さが0.5m以下の根刈,0.5〜1.5mの中刈,1.5m以上の高刈があり,桑葉を多く収穫するため種々の方法が考案されている。
→関連項目雌雄異株

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クワ(桑)」の意味・わかりやすい解説

クワ(桑)
クワ
Morus bombycis; mulberry

クワ科の落葉高木で,葉を養蚕に用いるため多くは畑や山地に栽植されている。雌雄異株で,雌木には熟すると黒紫色になる集合果がつく。実は甘ずっぱく食用となる。山地に自生するものをヤマグワという。材は狂いが少く家具材となる。桑園は畦間 2m,株間 0.5mぐらいで,10aあたり 1000本程度植えたものが多い。畦間,株間を詰めて 10aあたり 2000~3000本植えた桑園を密植桑園といい,短期間で完成桑園になり,収穫量も多く条も細いので,バインダー式の小型桑刈り機が使えるが,造成に多量の苗を要することと,葉肉が薄くしおれやすい欠点がある。収穫や管理を容易にし,収穫量を増加させ,適期に収穫できるように,樹高を低くし,樹形を整えるのが仕立てで,幹の高さ 50cm以下を根刈り仕立て,50~150cmを中刈り仕立て,2m以上を高刈り仕立てという。株を剪定するとき,毎年芽を残さず刈取る株は拳式となり,枝の基部の一部を残して刈取りを続けると株は年々高くなって無拳式となる。一定の剪定をせずに随時収穫するものを立通しという。

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