クロンシタット(英語表記)Kronshtadt

改訂新版 世界大百科事典 「クロンシタット」の意味・わかりやすい解説

クロンシタット
Kronshtadt

ロシア連邦北西部,レニングラード州の都市。サンクト・ペテルブルグ西方海上48kmのフィンランド湾内コトリン島にある軍港人口4万5200(1992)。1723年までクロンシロト。1703年,ピョートル大帝の命によりペテルブルグ防衛のための海上要塞として建設,18世紀20年代以降,バルチック艦隊の主力基地となった。20世紀には革命運動の拠点のひとつとして有名。クロンシタットは,1905年のロシア革命高揚の中で11月に起こった要塞兵士1500,艦隊水兵3000の反乱,06年8月の反乱を経験し,1917年革命では革命軍最大の拠点のひとつとなった。クロンシタット労兵ソビエトは,十月革命時に武装部隊を首都に派遣,内戦期にも多くのソビエト権力の組織者を生み出した。こうしてクロンシタット水兵は〈革命の栄光〉であるとたたえられたが,21年にはソビエトの民主化を要求するクロンシタットの反乱を起こした。第2次世界大戦ではレニングラード防衛に大きな役割を果たした。ピョートル大帝の宮殿のあるペトロドボレツの海岸より島の遠影を見ることができる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロンシタット」の意味・わかりやすい解説

クロンシタット
Kronshtadt

ロシア北西部,レニングラード州の都市。1723年までクロンシロート Kronshlot。サンクトペテルブルグの西約 30km,フィンランド湾東部のコトリン島にある港湾都市。1703年ピョートル1世がサンクトペテルブルグ防衛のため,要塞と軍港を構築したのが始まりで,バルチック艦隊の根拠地となって発展。また 1875~85年湾奥のサンクトペテルブルグへいたる水路が掘削されるまでは,貿易港としてもにぎわった。しばしば反乱の舞台となり,ロシア革命時にはクロンシタットに駐屯する水兵が大きな役割を果たした(→クロンシタットの反乱)。また第2次世界大戦中レニングラード包囲戦に際しては,その防衛に大きく貢献した。港は 12月初旬から 4月まで結氷するため,砕氷船が出動する。人口 4万2992 (2005推計) 。

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百科事典マイペディア 「クロンシタット」の意味・わかりやすい解説

クロンシタット

ロシア北西部,フィンランド湾内コトリン島にあり,サンクト・ペテルブルク(旧レニングラード)の西方にある港湾都市。1703年軍港として創設。以後1723年まではクロンシロトと称した。バルチック艦隊の基地。1917年に起きたロシア革命の拠点の一つだったが,1921年,反共産党水兵による反乱(クロンシタットの反乱)が起き,ソビエト政府に打撃を与えた。4万5000人(1989)。

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