改訂新版 世界大百科事典 「クロムイェロー」の意味・わかりやすい解説
クロムイェロー
chrome yellow
黄鉛ともいわれる黄色無機顔料。主成分がクロム酸鉛PbCrO4であるクロムイェローGのほか,クロム酸鉛と硫酸鉛PbSO4を主成分とする緑色調のクロムイェロー10G,5G,クロム酸鉛と酸化鉛(Ⅱ)PbOとが結合した塩基性クロム酸鉛を主成分とする橙色調のクロムイェローR,5Rなどもある。製法は一般的には湿式法が用いられ,金属鉛,酸化鉛(Ⅱ)に硝酸を反応させ硝酸鉛をつくり,これに二クロム酸ナトリウムを加えてクロム酸鉛の結晶を得,顔料化して製品とする。緑色調の製品は,二クロム酸ナトリウムとともに硫酸ナトリウムを加え,硫酸鉛を共沈させる。陰ぺい力が大きく安価であるが有毒であり,耐熱性,耐アルカリ性も中程度である。塗料,絵具の製造,ポリ塩化ビニル雑貨などの着色に使用される。
執筆者:新井 吉衞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報