クロムめっき(読み)くろむめっき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロムめっき」の意味・わかりやすい解説

クロムめっき
くろむめっき

金属材料の表面に薄いクロムの層を付着させること、また付着したクロムの薄層をいう。大気中で長期間使用しても金属光沢が失われず美しい外観が維持されるので装飾用めっきとして、また、ビッカース硬さで800~1000の大きな硬さをもつので耐摩耗用めっきとして用いられる。装飾用には0.25マイクロメートル程度の薄めっきが、また耐摩耗用には10~50マイクロメートルの厚めっきがなされる。

 装飾用および耐摩耗用のいずれのめっきの場合にも、めっき浴としては無水クロム酸と硫酸とからなるサージェント浴が多用される。通常のクロムめっきは電着応力が大きく、外部の力によって容易に大きな割れが入るため防食能力に乏しい。この点を改良した防食能力の大きなクロムめっきとしてマイクロクラッククロムめっき、マイクロポーラスクロムめっき、TFS用クロムめっきなどがある。

[杉本克久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例