クロスランド(英語表記)Charles Anthony Raven Crosland

改訂新版 世界大百科事典 「クロスランド」の意味・わかりやすい解説

クロスランド
Charles Anthony Raven Crosland
生没年:1918-74

イギリス労働党の理論家オックスフォード大学を卒業後,第1次大戦中はフランス戦線などに参加。1947年から50年までオックスフォードのトリニティ・カレッジで経済学を講義する。50年に党首ゲーツケルの懇望により政界入りし労働党から立候補して当選,55年には落選したが59年にはふたたび当選し,労働党右派の指導者として活躍した。多数の論文を《エンカウンターEncounter》誌に発表しているほか,主著に《イギリスの経済問題Britain's Economic Problem》(1953),《The Future of Socialism》(1956)がある。このうち後者は日本では《社会主義将来》(1959刊)および《福祉国家の将来》(1961刊)としてそれぞれ別の訳者によって邦訳,紹介されている。この著書をもってクロスランドは資本主義でも社会主義でもない第三の道としての福祉国家の実現を提唱する,いわゆる福祉国家論者として位置づけられている。
福祉国家
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロスランド」の意味・わかりやすい解説

クロスランド
くろすらんど
Anthony Raven Crosland
(1918―1977)

イギリスの政治家。オックスフォード大学を卒業後、同大学の経済学講師を経て、1950年に労働党下院議員となる。1960年代にウィルソン内閣の教育科学相、商務相、地方自治・地域計画相を歴任、1970年代には環境相キャラハン内閣の外相を務めた。著書『社会主義の将来』(1956)は、国有化政策批判などを展開したもので、労働党右派に理論的基盤を提供した。

[木畑洋一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロスランド」の意味・わかりやすい解説

クロスランド
Crosland, Charles Anthony Raven

[生]1918.8.29. ロンドン
[没]1977.2.19. オックスフォード
イギリスの政治家。労働党右派の理論家で,H.ゲイツケル党首の友人兼アドバイザー。オックスフォード大学卒業。第2次世界大戦には在学中に従軍。 45年復学,大学院に進み,50年まで経済学特別研究員,講師。 50年労働党下院議員当選。 55年落選。 56~58年ゲイツケル党首のもとで協同組合運動を指導。 59年下院議員に再選。 61~62年フェビアン協会会長。 65~67年教育・科学相,67~69年商相,69~70年地方自治・地域開発相,74~76年環境相,76~77年外相。

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