日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クレブス(Sir Hans Adolf Krebs)
くれぶす
Sir Hans Adolf Krebs
(1900―1981)
イギリスの生化学者。ドイツのヒルデスハイムで外科医の息子として生まれる。ハンブルク、ベルリン大学に学んだあと、カイザー・ウィルヘルム生物学研究所(現、マックス・プランク研究所)で研究、フライブルク大学で講義したが、ナチスの迫害を受け、ドイツを離れた。イギリスのケンブリッジ大学に移り、1945年から1954年までシェフィールド大学の生化学教授ならびに細胞代謝部門の長を務めた。フライブルク大学では肝臓における尿素形成の回路的な経路、いわゆるオルニチン回路を発見した(1932)。その後シェフィールド大学では、生物体内において糖が酸化的に分解してエネルギーを発生するTCA回路(クレブス回路)を発見した。この研究に対して1953年にノーベル医学生理学賞が授与された。翌1954年オックスフォード大学教授となり、1958年にはサーの称号を受けた。
[宇佐美正一郎]
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