クレオソート
くれおそーと
creosote
おもにブナ属植物のほか、ナシ、モミジ、マツなどから得た木タールを蒸留して水より重い留分を精製したもので、グアヤコール、クレゾールなど約10種のフェノール類の混合物である。無色または微黄色の澄明な液で特異なにおいがあり、舌を焼くような味を有する。水に溶けにくく、エタノール(エチルアルコール)、エーテル、グリセリンとよく混和する。殺菌・防腐作用を有し、腸内異常発酵、各種下痢、食中毒にクレオソート丸として内服する。また、去痰(きょたん)・鎮咳(ちんがい)作用を利用して慢性気管支炎の治療に用いられる。そのほか局所麻酔作用もあるので、歯科で小綿球に浸して虫歯に挿入し、殺菌消毒と痛みをとるために用いる。殺菌作用はフェノールより弱く、毒性、刺激性も弱い。
[幸保文治]
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クレオソート
〘名〙 (creosote) ブナ属植物の木
タールを蒸留して得られる油液。グアヤコール、クレオゾールなど約一〇種のフェノール類の混合物。無色または淡黄色の透明液で、光を強く屈折し、強い刺激性のにおいがある。劇薬。殺菌・消毒・防腐・袪痰
(きょたん)・鎮咳剤。
胃腸の異常発酵、慢性気管支炎などに用いる。〔薬品名彙(1873)〕
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クレオソート
creosote
ブナの木のタールから得たフェノール類の混合物。無色か淡黄色の油状の液体で,昔は胃腸の異常発酵防止に用いられた。現在ではカシ,モミジ,マツなどの材も使用され,歯科で鎮痛に使うほか,家畜用薬や防臭防腐剤として使われる。
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デジタル大辞泉
「クレオソート」の意味・読み・例文・類語
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クレオソート【creosote】
木材の乾留によって得られる,ほとんど無色か淡黄色の油状の液体で,煙のような臭気と強い焼くような味がする。グアヤコールとクレオソールを主成分として,その他高級フェノール類の混合物。初期にはブナが用いられたが,現在ではカシ,モミジ,マツなども使用される。木酢からも抽出することができるが,石炭タールからのものとは別物で,少なくとも85%(容量)以上が200~220℃で蒸留される。現在はあまり用いられなくはなったが,内服用として胃腸の異常発酵の防止,吸入用として気管支カタルや気管支拡張症などの慢性化したときの去痰に用いる。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報