精選版 日本国語大辞典 「クルップ」の意味・読み・例文・類語
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ドイツのクルップ社の基礎を築いた人物。エッセンに生まれ,1826年,14歳で亡父フリードリヒFriedrich(1787-1826)のエッセンにあるささやかな鋳鋼所(フリードリヒ・クルップ商会。1811設立)を受け継ぎ,さじ圧延機の発明,鉄道建設ブームに対応した各種鉄道部品の製造などにより,クルップ社の基礎を確立した。43年以降彼が多大な力を注いだ鋳鋼製の大砲は優れた性能で諸外国の注目を集め,大砲は青銅製であるという当時の常識を塗りかえた。こうして50年代以降クルップ社の鋳鋼製品は広く世界の市場へ進出し,さらに皇太子(のちのウィルヘルム2世)やビスマルクの信用をかちとり,70年以降クルップ社はドイツ軍部と深くかかわっていく。また彼は,ベッセマー法やシーメンズ=マルタン法など新技術の導入にも積極的に取り組み,ドイツ鉄鋼業界においてつねに先導的役割を果たし,その発展に寄与した。彼の没年までにクルップ社の製造した大砲は2万3000門余にのぼり,〈大砲王〉の名で知られている。息子フリードリヒ・アルフレートF.Alfred(1854-1902)の代には,クルップ社は世界で最も大きい軍需企業の一つに数えられるようになった。なおクルップ家の事業はその後,孫娘ベルタの夫グスタフ(1870-1950)を経てアルフリート(1907-67)に引き継がれたが,彼の死後はクルップ家の関与は希薄になった。
執筆者:日高 千景
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ドイツの大軍需企業およびその経営者一族の名。フリードリヒ・クルップ(Friedrich Krupp,1787~1826)が,1811年に鋳鋼工場を創設して基礎を築き,「大砲王」と呼ばれた息子のアルフレート(Alfred,1812~71)の代に,軍需企業として躍進,3代目フリードリヒ・アルフレート(Friedrich Alfred,1854~1902)は経営を一大コンツェルンに発展させた。養子グスタフ(Gustav,1870~1950)とその子アルフリート(Alfried,1907~67)は,ナチスの再軍備に協力してニュルンベルク国際軍事裁判の被告となり,経営は連合国の手で解体されたが,数年にして再生,ヨーロッパ最大の鉄鋼会社に復活した。
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…そしてヘッケル以外にも,L.グンプロビチ,ラッツェンホーファーG.Ratzenhoferの闘争を重視する社会学派,シャルマイヤーW.SchallmayerやプレッツA.Ploetzの優生学的主張,A.アモンのような楽天的な競争社会観など,多くの生物学主義的社会理論が輩出した。なかでも1900年の〈国家の国内政策の発展およびその立法に関して,われわれは進化論の原理から何を学ぶか〉というA.クルップの懸賞問題は,この思想の広範な浸透を象徴する事件として有名である。 欧米における進化論の啓蒙期と明治の西欧思想のとり入れ時期とが重なったため,日本には大量の西欧思想の一部として,最新の社会ダーウィニズムも流入した。…
※「クルップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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