クリーク族(読み)クリークぞく(英語表記)Creek

翻訳|Creek

改訂新版 世界大百科事典 「クリーク族」の意味・わかりやすい解説

クリーク族 (クリークぞく)
Creek

北アメリカ南東部,現在のアメリカ合衆国ジョージア州,アラバマ州付近に居住していたインディアン。言語はムスケギ語族に属する。丸太の柵に囲まれた数百人の住民からなる町に住んだ定着農耕民で,狩猟漁労採集も行った。トウモロコシカボチャ,豆,メロンなどが栽培され,農地は家屋付近の菜園と町外の共同農地に分かれ,後者は各戸に割り当てられていた。狩猟場は各町ごとに決まっており,弓矢,吹矢,わな,落し穴などの方法が使用された。漁労は内水面で行われ,漁法には槍,弓矢で突いたり,網,毒流し,簗(やな)などが用いられた。ワイルド・ライスをはじめ,堅果類,野イチゴなどの野生植物も採集された。多数の母系氏族が半族に組織され,一方の半族は平和維持に,他の半族は戦闘に関与した。各氏族には毎年開く氏族会議があった。周辺の諸部族とクリーク同盟を結び,対外的に大きな力を発揮し,植民地時代の外的勢力に対処した。18世紀半ばころには約50の町が存在し,人口は約2万人に達していた。1813-14年のクリーク戦争でアメリカ合衆国と衝突して敗北し,現在のオクラホマ州の地に設置された保留地に強制的に移された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリーク族」の意味・わかりやすい解説

クリーク族
クリークぞく
Creek

アメリカインディアンの一民族でムスコギ語を話す。ムスコギ族 (上部クリーク) とヒチティ族,アラバマ族 (低地クリーク) に分れる。アメリカのジョージアおよびアラバマ州に住み,トウモロコシ,カボチャ,豆類をつくり,双分制の社会組織をもっていた。社会は母系氏族制。 18世紀にヨーロッパ人と接触した際には約 50の集落が同盟をつくっていて,活発にヨーロッパ人と交渉,取引を行なった。 19世紀初めに合衆国との戦争に敗れ,インディアナ,テキサス両州に移され,20世紀に入ってからは大部分の者が白人社会に組込まれてしまった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のクリーク族の言及

【アメリカ・インディアン】より

…南部のサウス・カロライナ植民地では18世紀初頭以来インディアン奴隷狩りと奴隷貿易がさかんに行われ,そのため部族間の対立と戦争が助長され捕虜の奴隷化が促進された。東部森林文化領域南西部の有力部族であるクリーク族チェロキー族はイロコイ諸族のように植民勢力間の敵対関係を巧みに利用して中立の立場を守ったが,フレンチ・インディアン戦争においてはチェロキー族はイギリスと敵対した。(2)独立革命から南北戦争後まで(1760‐1880年代) 独立戦争では,大半の部族がイギリスと同盟して愛国派軍に対抗した。…

※「クリーク族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android