クライストチャーチ(読み)くらいすとちゃーち(英語表記)Christchurch

翻訳|Christchurch

デジタル大辞泉 「クライストチャーチ」の意味・読み・例文・類語

クライストチャーチ(Christchurch)

ニュージーランド南島東岸の都市。カンタベリー平野の東端、バンクス半島の基部に位置し、ペガサス湾に面する。同島最大の規模をもつ。周辺では酪農、牧羊が盛ん。名称は、1850年にオックスフォード大学クライストチャーチ校の出身者が中心となり入植したことに由来する。市街中心部をエイボン川が流れ、緑豊かな公園が多く、「庭園の町」と称される。2011年2月、カンタベリー地方で発生した地震で大きな被害を受けた。

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知恵蔵 「クライストチャーチ」の解説

クライストチャーチ

ニュージーランド南島の中部、カンタベリー平野の東海岸側にある都市。人口は38万人近く、ニュージーランドでは北島のオークランド、首都ウェリントンに次ぎ第3位、南島では最大の人口を有し、震災前の在留邦人は約3千人(2010年1月現在)。南半球にあって、緑豊かでイングランドを思い起こさせる美しい庭園が数多くある都市として知られ、「ガーデン・シティ」と呼ばれる。
主な産業は、郊外での酪農など農業が中心であるが、カンタベリー平野の中核都市として、製造業・商業も盛ん。また、市内には日比谷公園の15倍という広大なハグレー公園を始め、600カ所以上の公園がある。英国流のガーデニングも盛んで、個人の邸宅の庭園を訪れるガーデンツアーなども楽しめ、北米などからの観光客が多い。南島のハブ空港であるクライストチャーチ国際空港は、北島、オーストラリア、シンガポールなどとの往来の中継点になっており、日本からの直行便も就航しているため、日本から観光などで訪れる人も多い。日本からほど近い英語圏の国であり、物価が安く治安も比較的良好と思われていること、西岸海洋性気候で1年を通して比較的温暖な気候であることなどから、近年は語学留学などのために滞在する邦人も増加していた。
ニュージーランド列島も、日本列島と同じく環太平洋造山帯に属し、地震が多い地域である。10年9月にクライストチャーチ付近で発生した地震では、れんが造りの建物が多数倒壊し、負傷者数百人が出るなどの被害を受け余震が続いた。11年2月22日に発生したモーメントマグニチュード6.3の、ニュージーランド南部地震は、前者よりもさらに大きな被害をもたらし非常事態宣言が出されるに至った。この地震で、語学学校があったCTVビルの倒壊により日本からの留学生も多数被災し、邦人28人を含む200人近い犠牲者が確認された。
なお、後者の地震では、市のシンボルであり美しいステンドグラスで有名な聖公会のクライストチャーチ大聖堂も被災し、塔などが崩壊した。同名の聖堂は世界中に多くあるが、この大聖堂は年間70万人が訪れるニュージーランドを代表する観光名所。1864年に英国移民たちにより着工、40年あまりの歳月をかけて完成。当初は船大工などの手による木造建築であったが、途中から石造りの建物に変更された。外観は重厚な石造りだが、内部には船の木組みのような構造が用いられている。

(金谷俊秀  ライター / 2011年)

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改訂新版 世界大百科事典 「クライストチャーチ」の意味・わかりやすい解説

クライストチャーチ
Christchurch

ニュージーランド第3の都市。南島では最大。人口34万7700(2005)。カンタベリー平野の農牧業地帯の中心都市として,また工業都市として発展し,農産加工のほか第2次大戦後は重工業を含む各種工業が発達。工場数全国2位,生産額3位。国際空港がある。都心から11km南東のリトルトン港は主要貿易港の一つ。ウェリントンと連絡船で結ばれている。カンタベリー大学(1873創立),英国国教会の教会堂(1904完成),カンタベリー博物館がある。1850年入植,62年市制。ニュージーランド会社の建設した代表的都市。市名は初期の指導者の母校名に由来する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クライストチャーチ」の意味・わかりやすい解説

クライストチャーチ
Christchurch

ニュージーランド,サウス島の中部東岸にある,カンタベリー地方の中心都市。サウス島最大の都市。周辺のカンタベリー平野は,同国で最も豊かなコムギ・牧羊地帯で,その中心地として発達。古くからの肉の冷凍,羊毛工業,農機具製造業などに加えて,特に 1945年以降,衣服,カーペット,家具などの軽工業,輸送機器などの機械工業の発達が著しい。外港のリトルトンから羊毛,冷凍羊肉,酪製品,小麦が輸出され,石油,肥料,鉄鋼などを輸入。エイボン川が市中を流れ,公園,庭園が多く,庭園都市と呼ばれる。北部と西部が住宅地区で,植物園と公園によって商業地区と分けられる。 1850年イギリス国教会の信徒によって建設されたゴシック様式のアングリカン大聖堂と,その広場が中心部を形成。ローマ・カトリック大聖堂,修道院,カンタベリー大学,美術学校,ロバート・マクドゥーガル美術館,死滅したモア (恐鳥) の化石や土着の鳥類のコレクションで有名なカンタベリー博物館などがある。北西部に国際空港がある。人口 16万 8000 (1990推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クライストチャーチ」の意味・わかりやすい解説

クライストチャーチ
くらいすとちゃーち
Christchurch

ニュージーランド南島東岸、ペガサス湾南部の都市。人口31万6227、衛星都市を含めた大都市圏の人口は33万4107(2001)。南島最大の都市で、バンクス半島の北西に位置する。西側に広大なカンタベリー平野を控えた、小麦・ヒツジ混合農業地帯の農畜産物の集産地。食肉加工、羊毛、皮革、化学肥料などの工業が盛んで、この国第二の工業都市である。南東13キロメートルに位置する外港リトルトンLytteltonからは、冷凍肉、羊毛、乳製品などの農畜産物が輸出され、南島第一の貿易港である。鉄道の分岐点で、国際空港をもつ南島の交通の要衝でもある。1850年、カンタベリー教会の移民団によって開かれ、19世紀にはニュージーランド最大の都市となった。カンタベリー大学(1873創立)、大聖堂、絶滅した巨鳥モアを展示する博物館、植物園などをもつ文教の町で、エイボン川の流れる緑多い美しい庭園の町としても知られる。

[浅黄谷剛寛]


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世界の観光地名がわかる事典 「クライストチャーチ」の解説

クライストチャーチ【クライストチャーチ】
Christ Church

イギリスのイングランド南東部のオックスフォード(Oxford)にある、オックスフォード大学の最も大きなカレッジ。1546年に国王ヘンリー8世により創設された。『アリスの不思議な国』の作者ルイス・キャロルゆかりの学校で、最近では映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のロケ地の一つになった。◇ニュージーランド南島の都市クライストチャーチは、このカレッジにちなんで名づけられたものである。

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百科事典マイペディア 「クライストチャーチ」の意味・わかりやすい解説

クライストチャーチ

ニュージーランド南島東岸,バンクス半島北側に位置する南島最大の都市。外港リトルトンをもつ。小麦・羊毛・肉類生産の中心。第2次大戦後は重工業を含む各種工業が発達。1850年英国国教徒が創設。カンタベリー大学(1873年創立)がある。36万768人(2006)。

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