クマラトゥンガ(読み)くまらとぅんが(英語表記)Chandrika Bandaranaike Kumaratunga

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマラトゥンガ」の意味・わかりやすい解説

クマラトゥンガ
くまらとぅんが
Chandrika Bandaranaike Kumaratunga
(1945― )

スリランカ初の女性大統領。父バンダラナイケS. W. R. D. Bandaranaike元首相、母バンダラナイケSirimavo R. D. Bandaranaike元首相の二女コロンボのセント・ブリジェット修道院の学校を卒業後、パリのソルボンヌ大学の政治学の学士を修得した。パリにいる間に急進的思想に傾き、デモに参加した。1970年、母親が首相のとき帰国、土地改革委員会などで活躍した。1959年、子供時代に父が暗殺され、ティーンエイジャーのとき、ボーイフレンドが自動車事故で死亡、後に結婚した映画スターであった夫は1980年代末にシンハラの軍グループによって暗殺された。これらの事件で彼女は強くなったといわれる。その後、2人の子(娘と息子)とともに国外で過ごしたが、1990年代初めにスリランカにもどった。1994年8月15日総選挙スリランカ自由党SLFP)を中心とする左翼陣営「人民連合」(PA)が第一党となり、同月19日首相、11月12日に大統領に就任した。そして母親のバンダラナイケ元首相を17年ぶりに三度目の首相に任命した。1999年12月大統領に再選。2001年12月の総選挙にて野党勝利を収めたが、保守派大統領と革新派首相による保革共存体制をとった。2004年4月の総選挙では、スリランカ自由党(SLFP)を中核とする左派連合「統一人民自由連合」(UPFA)が勝利。2005年11月に任期終了により大統領を退任した。

吉野正敏

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマラトゥンガ」の意味・わかりやすい解説

クマラトゥンガ
Kumaratunga, Chandrika Bandaranaike

[生]1945.6.29. コロンボ
スリランカの政治家。スリランカ初の女性大統領(在任 1994~2005)。父は 1950年代に首相を務めたソロモンバンダラナイケ,母は世界初の女性首相として知られるシリマボ・バンダラナイケ。政治的考え方の素地はパリ留学中の大学時代に形成された。パリ大学で政治学の学位を取得。1984年スリランカ・マハジャナ党 SLMP副党首,1986年同党首。1988年政治家の夫が暗殺され,その後ロンドンに移り,1988年から 1991年までロンドン大学コモンウェルス研究所特別研究員を務めた。1990年代初頭スリランカに戻り,1993年,スリランカ自由党 SLFPを中心とする政党連合である人民連合 PAを結成した。1994年8月に行なわれた総選挙で PAを率い,長期政権の座にあった統一国民党 UNPをくだし首相に就任。同 1994年11月に行なわれた大統領選挙でも勝利すると,母親を首相に任命し,大統領に就任した。1999年12月の大統領選挙で再選を果たしたが,このときの選挙集会で,反政府組織「タミル・イーラム解放のトラLTTEによる暗殺未遂事件が発生し,爆弾でけがを負った。以降テロリストに対して強硬な姿勢をとり続けた。2005年任期満了で退任し,マヒンダ・ラジャパクサに大統領の座を引き継いだ。

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