クサヤツデ(読み)くさやつで

改訂新版 世界大百科事典 「クサヤツデ」の意味・わかりやすい解説

クサヤツデ (草八手)
Diaspananthus uniflorus(Sch.-Bip.)Kitam.

神奈川県以西から近畿地方の太平洋側,四国,九州に分布するキク科多年草で,日本特産である。別名ヨシノソウは分布域の中心といえる奈良県吉野山に多いところからつけられ,クサヤツデ,別名のカンボクソウ掌状の葉がヤツデ(ウコギ科)やカンボク(スイカズラ科)の葉に似ているところからつけられた。根茎は横にはい,前年の花茎の基部が節として残る。葉は長い柄があって,茎の基部から多数束生する。秋に花茎が伸び,大型の円錐花序をつける。高さ40~110cm。多数の頭花は下向きに垂れて開花する。一般に頭花は多数の小花からなるが,本種では1個の小花しかない。学名uniflorusは小花が1個であることを表現したものである。近縁のモミジハグマ属Ainsliaeaには多くの種があるが,1頭花の小花数は3~5個である。花冠は暗紫色で,5深裂し,裂片は反曲する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クサヤツデ」の意味・わかりやすい解説

クサヤツデ
くさやつで / 草八手
[学] Diaspananthus uniflorus (Sch.Bip.) Kitam.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。根出葉には長柄があり、葉身は掌(しょう)状に5~7中裂し、裂片はさらに2、3浅裂する。9~11月、高さ0.4~1.1メートルの花茎が伸び、多くの頭花を円錐(えんすい)花序につける。総包葉は細い筒状、中に1個の小花がある。花冠の広筒部が5全裂しているので花期には放射相称となる。神奈川県以西の本州、四国、九州の山地の林下に生える。名は、葉がヤツデに似ることによる。モミジハグマ属に含める説もある。

小山博滋 2022年2月18日]

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