ギーゼキング

精選版 日本国語大辞典 「ギーゼキング」の意味・読み・例文・類語

ギーゼキング

(Walter Gieseking ワルター━) フランス生まれのドイツピアニストモーツァルトや、ドビュッシーラベルなどフランス印象派作品演奏名声を上げる。師カール=ライマーとの共著「現代ピアノ演奏法」はのちのピアノ奏法に大きな影響を与えた。(一八九五‐一九五六

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デジタル大辞泉 「ギーゼキング」の意味・読み・例文・類語

ギーゼキング(Walter Gieseking)

[1895~1956]ドイツのピアノ奏者。フランスの生まれ。端正な奏法を確立し、特にフランス近代音楽の演奏で名声を博した。

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百科事典マイペディア 「ギーゼキング」の意味・わかりやすい解説

ギーゼキング

ドイツのピアノ奏者。20世紀前半を代表するピアノ奏者の一人。ドイツ人を両親にフランスのリヨンに生まれ,イタリア北部のリビエラで育つ。ドイツに帰国後,1911年−1916年ハノーファー音楽院に学ぶ。第1次世界大戦に従軍後1920年のベルリン・デビューから本格的な演奏活動を開始し欧米各地で活躍。ハノーファー音楽院時代の師K.ライマー〔1858-1944〕との共著《現代ピアノ演奏法》(1931年)では楽譜に忠実な演奏を提唱。バイオリン奏者のシゲティなどとともに〈新即物主義〉の名で呼ばれたが,その演奏は抑制のきいた明晰(めいせき)な解釈の中に深い情感を秘める抜きん出た暗譜能力でも知られ,モーツァルトやベートーベン,ドビュッシー,ラベルなどのフランス近代音楽ほか幅広いレパートリーにすぐれた演奏を残した。回想録(1963年出版),ピアノ曲,歌曲などの作品もある。1953年に来日。
→関連項目イェペス

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改訂新版 世界大百科事典 「ギーゼキング」の意味・わかりやすい解説

ギーゼキング
Walter Gieseking
生没年:1895-1956

ドイツのピアノ奏者。20世紀を代表する演奏家の一人。ハノーファー音楽院を卒業,1920年から本格的な演奏活動に入る。23年ヨーロッパ各国,26年アメリカに演奏旅行をおこない,急速に名声を高めた。従来の感情至上主義的演奏を排し,楽譜に忠実な再現を主張したギーゼキングは,それが可能な高度の演奏技術の持ち主だったが,なかでも,過剰な感情移入を避けたモーツァルト,繊細で精妙な音色を生かしたドビュッシーとラベルは,とくに高く評価された。第2次世界大戦後,ナチスに協力したかどで2年間活動を禁止されたが,47年に復帰,以前と変わらぬ名声を得た。1953年来日。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギーゼキング」の意味・わかりやすい解説

ギーゼキング
ぎーぜきんぐ
Walter Gieseking
(1895―1956)

ドイツのピアノ奏者。20世紀前半を代表する巨匠の一人。フランスのリヨンに生まれ、ハノーバー音楽院でカール・ライマーに学び、1920年にデビュー。23年のヨーロッパ楽旅と26年のアメリカ・デビューの成功で、短期間のうちに名声を確立した。第二次世界大戦中ナチスに協力したかどにより戦後2年間活動を禁止されたが、47年に復帰、フランスとアメリカではボイコット運動がおこったものの、結局、その実力によって往年の名声を取り戻した。53年(昭和28)に来日。繊細なタッチが生み出す音の美しさ、感情におぼれすぎない端正なスタイルのため、とくにモーツァルト、ドビュッシー、ラベルの演奏は、一時期を画する名演と評された。ベートーベンの演奏も忘れがたい。ロンドンで没。

[岩井宏之]

『ギーゼキング著、杉浦博訳『ピアノとともに』(1968・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギーゼキング」の意味・わかりやすい解説

ギーゼキング
Gieseking, Walter (Wilhelm)

[生]1895.11.5. リヨン
[没]1956.10.26. ロンドン
ドイツのピアニスト。ドイツ人を父に,フランス人を母としてフランスで生れ,1911年両親とともにハノーバーへ移り,同市の音楽院で K.ライマーに師事。第1次世界大戦後ヨーロッパ各地で,26年以後アメリカでも演奏。特にドビュッシー,ラベルらフランス印象派の作品の演奏者として定評がある。晩年は古典派の作品をも好んで演奏。師ライマーとの共著『現代ピアノ演奏法』 Modernes Klavierspiel (1931) ,『リズムと強弱表現とペダル』 Rhythmik,Dynamik,Pedal (38) により,のちのピアノ奏法に多大な影響を及ぼした。作曲,編曲も数曲残す。 53年来日。

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