ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説
ギヨーム[オーベルニュ]
Guillaume d'Auvergne
[没]1249. パリ
フランスの哲学者,神学者。ラテン名 Guilelmus Alvernus。 1228年パリ司教。イブン・シーナーに基づいて存在 (実存) と本質の区別をスコラ哲学に導入し,神においてのみ両者は不可分とする。しかし被造物の存在は神の存在を分有することによるとし,神の絶対的力を高揚し,この点で S.ガビロルを高く評価した。認識論においても彼は被造物と神の直接的結びつきを強調して,逍遙学派やイブン・シーナーの離存英知の介在を否定,感覚が個物をとらえるように人間知性は直接結びつけられた永遠真理たる神の照明によって普遍的真理を認識するとした。この実念論においてギヨームは完全にアウグスチヌスの伝統に立っており,13世紀におけるアリストテレス主義の普及を遅らせた。主著"De primo principio" "De anima" "De universo"。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報