ギャバジン
ぎゃばじん
gabardine
gaberdine
ギャバとも略してよばれ、もとは経糸(たていと)に毛、緯糸(よこいと)に綿を使い、綾(あや)組織に緻密(ちみつ)に織り、畝(うね)を高くした織物。現在では純毛、純綿、化合繊などいろいろな繊維を使って織られている。この名称は、中世にユダヤ人が着ていた粗末な丈の長いオーバーをさしたことに由来するという。組織は主として
、
、
の綾組織からなり、経糸の密度がこんだもので、堅くしっかりした地合いが特徴である。おもに樹脂加工して、婦人・子供服地や、防水加工を施してレインコート、ダスターコート地に使用されている。
綿ギャバジンのうち、細番手で細かい綾目を出したバーバリーといわれているものは、イギリスのバーバリー社の製品で、その登録商標でもあるが、いまでは薄地の綿・絹ギャバジンをさす一般的名称ともなっている。
[角山幸洋]
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ギャバジン
gabardine(gaberdine)
(1) 斜文線が緯糸の方向に対して 45度以上になるように経糸密度を多くした綾織物。巡礼服を意味するスペイン語のガバルディナ gabardinaが語源。繊維は本来毛,ほかに綿,人造繊維のステープルファイバーを用い,一般に無地染またはプリント。じょうぶで,皺がつきにくく,紳士・婦人服,コート,ユニフォーム地などに用いられ,特に綿ギャバジンはレインコート,作業服,子供服,エプロン地などに用いられる。 (2) 中世,特にユダヤ人が着用したゆるやかな長い上着のこと。
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ギャバジン
組織の密な綾(あや)織物の一種。本来は中世の貧民の外衣をさしたが,19世紀末に英国のバーバリー社がレインコート地の商標とした。経糸(たていと)が梳毛(そもう),緯(よこ)糸が綿の交織であったが,綿,絹,毛,化繊でも織られるようになった。薄地で耐久性に富み,しわがつきにくい。レインコート,背広,ズボンなどにする。無地染が多いが,霜降もあり,日本ではこれをクレバネットと称することが多い。
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ギャバジン
〘名〙 (gabardine, gaberdine) 毛および綿でつくった綾織(あやおり)の布の一種。経(たていと)を緯(よこいと)より密度を多くして織ったもの。綾目(あやめ)の急角度の斜文を浮き出させた織物。毛の場合は梳毛(そもう)糸を用いる。ギャバ。
※浮世酒場(1936)〈獅子文六〉六「軽快なギャバルジンのオーヴアを」
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デジタル大辞泉
「ギャバジン」の意味・読み・例文・類語
ギャバジン(gabardine)
梳毛糸で織った目の詰んだ綾織物。服地・レインコート地とする。ギャバ。
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ギャバジン【gabardine】
細い梳毛(そもう)糸で織った目のつんだ綾織物で,略してギャバともいう。60度前後の角度で,左下から右上に向かって斜文線が見えるのが表。似た織物にサージがある。原糸と組織は同じだが,ギャバジンのほうが経糸の密度が高いので,表面の斜文線はサージ45度ぐらいに対し,ギャバジンは65度ぐらいになり,張りは少ないが光沢はある。現在では毛織物のほかに綿,化学繊維,混紡,絹など種類があり,無地仕上げが多い。綿のギャバジンは,紺,茶などの無地染にするか漂白する。
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