ギアナ高地(読み)ギアナコウチ

デジタル大辞泉 「ギアナ高地」の意味・読み・例文・類語

ギアナ‐こうち〔‐カウチ〕【ギアナ高地】

Escudo guayanés南アメリカ大陸北東部高地ベネズエラおよびギアナ南部からブラジル北部にかけて広がる。西部はテーブル状の峰が多数あり、東部は1000メートル級の山が連なる。地質学的にはギアナ楯状地とよばれ、20億年から18億年前頃の先カンブリア時代の基盤岩からなる。ロライマ山アンヘル滝を含むカナイマ国立公園は、1994年に世界遺産自然遺産)に登録された。マシーソ‐グアヤーネス。

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精選版 日本国語大辞典 「ギアナ高地」の意味・読み・例文・類語

ギアナ‐こうち ‥カウチ【ギアナ高地】

南アメリカ北部、ベネズエラ南東部からギアナ南部、ブラジル北部へ広がる高地。最高点はロライマ山(二八一〇メートル)。大部分未開発で、地下資源に富む。

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百科事典マイペディア 「ギアナ高地」の意味・わかりやすい解説

ギアナ高地【ギアナこうち】

南米大陸北東部の,ベネズエラ南東部からブラジル北部,ガイアナスリナムフランス領ギアナにまたがる高原状の山地。面積約120万km2ブラジル高原とともにゴンドワナ大陸の一部をなす。砂岩溶岩が覆う卓状地で,残丘メーサ,樹枝状の谷が見られ,低地帯との境い目にアンヘル滝など多くの滝があり,川の多くはオリノコ川に合流する。最高峰ロライマ山(2810m)。金,鉄鉱石などの地下資源に富むが,熱帯雨林のため開発は遅れていた。
→関連項目アマゾニアカナイマ国立公園ギアナ卓状地ネグロ[川]パカライマ[山脈]パリマ[山脈]ベネズエラ南アメリカ

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改訂新版 世界大百科事典 「ギアナ高地」の意味・わかりやすい解説

ギアナ高地 (ギアナこうち)
Guiana Highlands

南アメリカ北東部の,ベネズエラ南東部からブラジル北部,ガイアナ,スリナム,仏領ギアナにまたがる高原状の山地。面積約120万km2。ブラジル高地とともにゴンドワナ大陸の一部を形成し,世界最古の陸地の一つ。先カンブリア時代の結晶片岩,片麻岩からなる基盤を古生代中生代の砂岩や溶岩が覆う卓状地で,小起伏の地形が広がる。ところどころに残丘やメーサが突出したり樹枝状に谷が刻まれている。古い陸塊から低地帯に移る部分にはアンヘル滝をはじめ多くの滝がある。南に高く北と西に高度を減じているため,この高地を流れる川の多くは,高地の西~北縁を流れるオリノコ川に合流する。最高峰はブラジル,ベネズエラ,ガイアナ国境のロライマ山(2810m)。金,ダイヤモンド,鉄鉱石,マンガンなどの豊富な地下資源を埋蔵するが,熱帯雨林に覆われているため開発がおくれていた。ベネズエラでは1960年にガイアナ開発公社CVG)を設立し開発を推進している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギアナ高地」の意味・わかりやすい解説

ギアナ高地
ぎあなこうち
Planalto da Guiana

南アメリカ大陸北部、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナおよびブラジルにまたがる山塊。ブランコ川とエセキボ川を結ぶ低地帯で東西に二分される。西部の山塊には最高峰ネブリナ山(3014メートル)やロライマ山などの高山があるが、東部の山塊はおおむね1000メートル以下の低山である。ギアナ楯状地(たてじょうち)とよばれる安定地塊で、先カンブリア時代の岩類よりなる。西部の山塊では、古期の変成岩類、火成岩類を水平に覆う先カンブリア時代の厚く堅硬な堆積(たいせき)岩層(ロライマ層)が広く分布し、これを頂上に頂いたテーブル状の孤立峰(テプイ)が多数散在している。山塊周辺部には、セロ・ボリーバル鉄山(ベネズエラ)、セラ・ド・ナビオ・マンガン鉱山(ブラジル)などの大規模な鉱山がある。

[松本栄次]

世界遺産の登録

ベネズエラ内のギアナ高地は1994年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「カナイマ国立公園」として世界遺産の自然遺産に登録された(世界自然遺産)。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギアナ高地」の意味・わかりやすい解説

ギアナ高地
ギアナこうち
Guiana Highlands

スペイン語では Meseta de Guayana。南アメリカ北部,ギアナ地方にある高地。大西洋沿岸低地を除くギアナ三国 (ガイアナ,スリナム,フランス領ギアナ) の全域,ベネズエラ南東部,およびブラジル北部を含む広大な地域で,南はアマゾン低地,西と北西はオリノコ低地に限られる。地体構造的にはギアナ楯状地と呼ばれ,基盤はアマゾン低地の南に広がるブラジル高原と同じ古期の岩石から成り,地形はゆるやかに起伏する標高 300m以下の丘陵地,600~900mの低い山地,および台地状の高原に分けられる。パリマ,パカライマ,アカライ,トゥムクマケなどの山脈を含み,最高点はパカライマ山脈中,ベネズエラ,ガイアナ,ブラジル3国の国境が集る地点に位置するロライマ山の 2772m。全域が熱帯多雨地帯に属し,ベネズエラ南部など一部にサバナが広がるほかは,大部分が熱帯雨林におおわれる。基盤の結晶質岩石は各種の鉱物資源を含むが,金,ダイヤモンド,鉄鉱石などが採掘される以外,開発は進んでいない。この高地を流れるカロニ川の支流チュルン川にかかるエンジェル滝は,世界最大の落差 (979m) をもつ滝として知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のギアナ高地の言及

【アメリカ】より

…チチカカ湖を含むペルー,ボリビア地域ではアンデス山脈の幅は約600kmにも達し,広い高原を含んでいる。 北アメリカ・南アメリカ大陸の東部にはローレンシア楯状地,ギアナ高地,ブラジル高原などの古い山地があり,その基盤は古い結晶岩や結晶片岩で構成されている。ローレンシア楯状地は北アメリカ大陸北部のラブラドルからハドソン湾を囲むように広がり,五大湖北部をへて北極海諸島に至る。…

【ベネズエラ】より

…スペイン語では〈ベネスエラ〉と発音する。
【自然,地誌】
 地理的には,ベネズエラ高地,マラカイボ低地,リャノ,ギアナ高地の4地域に区分される。(1)ベネズエラ高地はアンデス山脈の北端を形成する一支脈で,さらに四つの地域に細分される。…

※「ギアナ高地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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