キンバーライト(英語表記)kimberlite

翻訳|kimberlite

デジタル大辞泉 「キンバーライト」の意味・読み・例文・類語

キンバーライト(kimberlite)

南アフリカキンバリー地方などに産するダイヤモンド母岩として知られる橄欖かんらん斑状はんじょう火成岩で、パイプ状の小岩体をなす。キンバリー岩

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改訂新版 世界大百科事典 「キンバーライト」の意味・わかりやすい解説

キンバーライト
kimberlite

揮発成分とカリウムに富む不等粒組織の超塩基性火山岩であって,斑晶は主として地下深部で結晶したカンラン石,そのほか少量の金雲母,輝石,ザクロ石やチタン鉄鉱を含む。石基はカンラン石,輝石,金雲母,スピネル方解石などから成る。一般に著しい蛇紋石化作用を受けている。ダイヤモンドの唯一の源岩(含有量は1000万分の1以下)であって,安定大陸地域にのみ,まれに小さな貫入岩体として産出する。マグマのうちでは最も深いところ(150~250km)で生成され,上部マントル地殻を通過する時速は30~60kmと見積もられている。爆発的に上昇する時,地球深部を構成しているカンラン岩やエクロジャイトを取り込んでくることがある。ダイヤモンドを含む斑晶鉱物やこれらの捕獲岩類は,地球内部のことを直接知る手がかりとなっている。
カンラン岩
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百科事典マイペディア 「キンバーライト」の意味・わかりやすい解説

キンバーライト

斑状構造の顕著な,蛇紋岩化あるいは炭酸塩化した雲母カンラン岩でパイプ状小岩体をなすもの。キンバリーでダイヤモンドの母岩となったものに命名されたのに由来。キンバリーでは先カンブリア時代石炭紀または三畳紀地層を貫く直径150mの火山筒をなし,上部漏斗(ろうと)状,下部は円柱状で,深さ1200mまで採掘された。
→関連項目カンラン(橄欖)岩ダイヤモンド

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キンバーライト」の意味・わかりやすい解説

キンバーライト
きんばーらいと
kimberlite

キンバレー岩

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世界大百科事典(旧版)内のキンバーライトの言及

【アフリカ】より

…【鈴木 秀夫】
[地史]
 アフリカ大陸の大部分は,地史学的には楯状地あるいは剛塊(クラトン)とされる古期岩層分布地域である。これは主として30億~10億年前の先カンブリア時代の岩石からなっており,ダイヤモンドを含むキンバーライトの存在でも特徴づけられるように,地下深所物質が地表に露出している地帯である。古生代から中生代にかけてはこのような楯状地が一体となって南半球寄りにゴンドワナ,北半球側にユーラシア(あるいはローラシア)の各超大陸を構成していたのであるが,白亜紀後期ころからの大陸移動によって,南アメリカや南極大陸とも分かれて現在に至ったことが解析されている。…

【カンラン岩(橄欖岩)】より

…カンラン石が90%以上で,輝石の少ないものをダナイトduniteと呼び,それ以下のものについては,伴われる輝石の量比によって,斜方輝石の多いものをハルツバージャイトharzburgite,単斜輝石の多いものをウェーライトwehrlite,両方とも多いものをレルゾライトlherzoliteと呼ぶ。 産状は,(1)塩基性層状分化岩体の下部層を構成するもの,(2)造山帯ないし構造帯に産出するもの,(3)アルカリ玄武岩やキンバーライト中に団球状に包有されているものの3種類がある。最初の例としては,南アのブッシュフェルトBushveld岩体,アメリカ,モンタナ州のスティルウォーターStillwater岩体,カナダのマスコックスMuskox岩体などが有名で,輝岩,斜長岩,斑レイ岩などと層状構造をなし,しばしばクロム鉄鉱や白金の鉱床がみられる。…

【正マグマ鉱床】より

… 一方,通常のマグマからはケイ酸塩鉱物とともに,少量のチタン鉄鉱,磁鉄鉱,クロム鉄鉱などが晶出するが,これらの鉱物はケイ酸塩鉱物と著しく比重が異なるなどの理由により濃集することがあり,チタンやクロムの鉱床となる。ダイヤモンドの鉱床であるキンバーライトは,地下深所の高圧下で安定に晶出した結晶を保持したまま地表付近に運ばれてきた岩石で,正マグマ鉱床の特殊な例である。【島崎 英彦】。…

※「キンバーライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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