キョクアジサシ(読み)きょくあじさし(英語表記)Arctic tern

翻訳|Arctic tern

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キョクアジサシ」の意味・わかりやすい解説

キョクアジサシ
Sterna paradisaea; arctic tern

チドリ目カモメ科。全長 33~36cm。頭上から後頸が黒く,背面の上面は淡い灰色だが,初列風切羽の先端は黒い。喉から腹部は白い。尾羽も白く,深く切れ込んだ燕尾型をしている。と脚は赤色渡り鳥のなかでも長距離を渡ることで知られ,北極圏繁殖し,繁殖を終えると南極海まで渡る。直線距離でも往復 2万kmをこえるが,グリーンランドアイスランドで繁殖した鳥を調べたところ,渡りのルートは蛇行しており,飛翔距離は 7万km以上に及ぶことが明らかになった。近年,日本でも河口干潟などで少数が観察されている。主食は魚だが,繁殖地では漿果(→液果)や昆虫なども食べる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キョクアジサシ」の意味・わかりやすい解説

キョクアジサシ
きょくあじさし / 極鰺刺
Arctic tern
[学] Sterna paradisea

鳥綱チドリ目カモメ科の海鳥。全長35センチメートルほどの中形種である。北極を取り巻く高緯度地方で繁殖し、ヨーロッパおよびアフリカの西海岸、北および南アメリカ西海岸に沿って南下し、南極海域まで渡って越冬し、翌春ふたたび北上する。もっとも長距離の渡りをする鳥の一つである。北極、南極で白夜の夏を過ごし、おもに日が長い所を渡るので、明るい所にいる時間がもっとも長い動物でもある。繁殖および渡りのとき換羽をせず、越冬地ですばやく済ます。海岸近くの砂礫(されき)地に集団で営巣し、1腹2~3卵を産む。魚のほか甲殻類も食べる。1歳鳥は南半球にとどまり、2歳で北上し、3歳で初めて営巣する。日本での記録はまだない。

[長谷川博]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android