キャムデン

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キャムデン

英国，エリザベス時代の歴史家。ロンドンに生まれ，セント・ポールズ校を経てオックスフォード大学に学ぶ。1593年ウェストミンスター校の校長，1597年紋章院長官。1571年ごろより全国を旅行して資料を集めて1586年《ブリタニア》をラテン語で刊行，歴史的・地理的な事柄に関する情報の宝庫として歓迎をうけ，増補を重ねたすえ1610年には英語版を発表。この間，ウィリアム・セシルからの要請をうけて，彼の所蔵する文書・記録などを利用して，エリザベス女王の治世の歴史叙述を企て，その前半を扱った《エリザベス女王治世年代記》を1615年に刊行。ただし治世の後半の部分は死後出版された。また1622年に母校オックスフォード大学に英国初の歴史学講座を寄付。1838年には彼を記念して古文書の印刷・刊行を目的にするキャムデン協会が設立された。

キャムデン

米国，ニュージャージー州西部にある工業都市。デラウェア川を隔ててフィラデルフィアに対し，その衛星都市となっている。製油，造船のほか各種の工業が発達。詩人W.ホイットマンが晩年に住んだ町として知られる。７万7344人（2010）。

出典　株式会社平凡社

改訂新版　世界大百科事典

キャムデン
William Camden
生没年：1551-1623

イギリスの歴史家。ロンドン生れ。セント・ポールズ校とオックスフォード大学で教育を受け，1593年ウェストミンスター校校長，97年紋章院長官。1571年より旅行などを通じて収集した材料をもとに，86年ラテン語八つ折版のイギリス地誌《ブリタニア》を著す。歴史的事実の宝庫として版を重ね，1607年第6版より二つ折の増補版となり，10年には英訳された。22年母校オックスフォード大学に彼の寄贈により念願の歴史学講座が設けられた。1838年，古文書史料の印刷刊行を行う〈キャムデン・ソサエティ〉が，彼を記念して設立された。
執筆者：鈴木 利章

キャムデン
Camden

アメリカ合衆国，ニュージャージー州南西部の工業都市。人口7万9904（2000）。デラウェア川を挟んでフィラデルフィアの対岸に位置する。1681年に定住が行われ，1828年市制施行。34年，キャムデン～アンボイ鉄道が通じてから，ニュージャージー州南部の商業，工業，交通の中心地として発展した。缶詰食品，電気器具，紙製品，造船などがおもな工業である。詩人W.ホイットマンの住居が保存されている。
執筆者：菅野 峰明

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

世界大百科事典（旧版）内のキャムデンの言及

【系譜学】より

…貴族はもとより，貴族社会への参入を熱望する上層ブルジョアは，系譜録を競って製作，もしくは捏造した。学問としての系譜学は，このような背景のもとに，古文書学，聖徒誌学などとほぼ同一の過程を経て，16世紀以降誕生し，イギリスのW.キャムデンらによって確立された。系譜学は証書，墓碑，年代記，さらに近代については，税収簿，戸籍簿，教会洗礼簿などを史料として用い，歴史補助学として，政治史･社会史に多大な知見を提供する。…

※「キャムデン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」