キバナノアマナ(英語表記)Gagea lutea(L.)Ker-Gawl.

改訂新版 世界大百科事典 「キバナノアマナ」の意味・わかりやすい解説

キバナノアマナ
Gagea lutea(L.)Ker-Gawl.

北海道の原野で春一番を飾る,黄花の美しいユリ科多年草ユーラシア冷温帯亜寒帯に広く分布し,日本では本州,四国にも産するが東北日本以外ではごくまれである。鱗茎卵形,直径1cm。葉は地表面に1枚だけ展開し,線形。春先1本の花茎を伸ばし,頂端に散形花序をつける。花茎は高さ15~22cmで,5~10個の花をつける。花柄は束生し大きさの不ぞろいな2枚の苞葉につつまれる。近縁のチシマアマナ属Lloydiaは,苞葉が離れてつく点で異なる。花被片は長さ約1.5cm,果実は三稜形。果実をつけた後,夏季には地上部は枯死し,休眠に入る。典型的な春先植物の一つである。根茎と若葉食用にされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キバナノアマナ」の意味・わかりやすい解説

キバナノアマナ
きばなのあまな / 黄花甘菜
[学] Gagea lutea (L.) Ker-Gawl.

ユリ科(APG分類:ユリ科)の多年草。典型的な早春植物の一種。鱗茎(りんけい)は径約1センチメートルで球形。幼植物は葉を1枚のみ出す。成熟個体の根出葉は、長さ15~30センチメートル、幅0.5~1センチメートルで、全体に軟毛がある。花茎は高さ15~20センチメートルとなり、花序の基部に2枚以上の包葉をつける。下部の1枚は披針(ひしん)形、大形で3~6センチメートルあるが、上部のものは小形で線状披針形。4~5月にやや散形の花序に数個の鮮黄色の花をつける。果実はやや円形で稜(りょう)がある。北海道、本州北部の温帯林の林床に多く、本州西部、四国にまれに分布し、ユーラシア大陸に広く分布する。

河野昭一 2018年12月13日]

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