キサントフィル(読み)きさんとふぃる(英語表記)xanthophyll

翻訳|xanthophyll

精選版 日本国語大辞典 「キサントフィル」の意味・読み・例文・類語

キサントフィル

〘名〙 (Xanthophyl(l)) カロチノイド類のうち水酸基カルボニル基、エーテル状酸素などを含む色素の総称。アルコール可溶。動・植物体に広く分布し、植物では花、果実種子などに色をつける因となる。狭義には最も普通にみられるルテインをさす。葉黄素

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デジタル大辞泉 「キサントフィル」の意味・読み・例文・類語

キサントフィル(xanthophyll)

カロテノイドのうち、水酸基などの形で酸素を含む一群の色素。動植物に広く分布。卵黄に含まれるルテインなど。葉緑体に含まれるものは光合成の補色色素として働く。葉黄素。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キサントフィル」の意味・わかりやすい解説

キサントフィル
きさんとふぃる
xanthophyll

カロチノイドの一種で、末端イオノンヨノン)環にヒドロキシ基エポキシド基の形で酸素を含む一群の色素の総称。生体内ではカロチン類の酸化によってつくられる。光合成の際に、補助色素として光のエネルギーの受け渡しをする。緑葉に含まれるキサントフィル類としてはルテインが代表的なものである。黄化して光合成能の低下した葉では酸化のすすんだキサントフィル類が多くなる。クリプトキサンチンゼアキサンチンも花弁や果実などに広くみいだされる。果皮などにはケトン基をもつ赤色のキサントフィルも低含量ながら広く含まれている。ホオズキ果実のフィザリエンやヤマブキ花弁の黄色色素ヘレニエンは、それぞれゼアキサンチンおよびルテインの脂肪酸エステルである。

[南川隆雄]

『吉田精一・南川隆雄著『高等植物の二次代謝』(1978・東京大学出版会)』『石倉成行著『植物代謝生理学』(1987・森北出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「キサントフィル」の意味・わかりやすい解説

キサントフィル
xanthophyll

カロチノイドのうち水酸基,カルボニル基またはエポキシドなどの形で酸素を含むものを総称する。生物界に広く見いだされ,カロチン類の酸素化によって生成されると考えられる。ホオズキ,トウガラシの実の色,卵黄,魚卵,哺乳類の卵巣の黄体などの色はこの色素による。狭義にはルテインluteinで分子式はC40H56O2であり,水酸基をもつゼアキサンチンzeaxanthin,クリプトキサンチンcryptoxanthin,ケト基を有するロドキサンチンrhodoxanthinなどが知られている。葉緑体に含まれるキサントフィル類は光合成の補助色素として,吸収した光のエネルギーをクロロフィルに伝え光合成の効率を高めている。
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化学辞典 第2版 「キサントフィル」の解説

キサントフィル
キサントフィル
xanthophyll

】酸素原子を含むカロテノイドの総称.ヒドロキシ基,カルボニル基,カルボキシル基,エポキシ基などの官能基が普通にみられる.炭化水素カロテノイドに比べて極性溶媒に易溶,炭化水素系溶媒に難溶.ルテイン,ゼアキサンチンクリプトキサンチンアスタキサンチンなどがもっともありふれたものである.【】緑葉のカロテノイド,ルテインの別名.

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百科事典マイペディア 「キサントフィル」の意味・わかりやすい解説

キサントフィル

カロチノイド色素類のうち,アルコール,ケトン,カルボン酸またはエステルの形で酸素を含む黄色色素群。緑葉,花,魚卵,卵巣の黄体,カナリアの羽毛など動植物界に広く存在する。代表的なルテインC4(/0)H56O2のみをさすこともある。

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栄養・生化学辞典 「キサントフィル」の解説

キサントフィル

 (1) カロテノールともいう.ヒドロキシル基をもつ,カロテノイドの総称.(2) C40H56O2 (mw568.89).

 ルテインともいう.

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世界大百科事典(旧版)内のキサントフィルの言及

【カロチノイド】より

…この名はこの色素群の代表であるカロチンに基づいてツウェットM.S.Tswettにより命名された。彼はこれらの色素の中で炭化水素溶媒に可溶のものをカロチン,炭化水素溶媒にとけにくく,メタノールにとけやすいものをキサントフィルとした。そして両者を総称してカロチノイドと呼んだ。…

※「キサントフィル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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