キクラゲ(木耳)(読み)キクラゲ(英語表記)Auricularia auricula-judae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キクラゲ(木耳)」の意味・わかりやすい解説

キクラゲ(木耳)
キクラゲ
Auricularia auricula-judae

担子菌類キクラゲ目キクラゲ科のキノコ。夏秋の頃に,種々の広葉樹の幹に発生する。その形が人の耳たぶによく似ているので学名はユダヤ人の耳,漢名は木の耳の意。しかし湿った状態では寒天質で軟らかくクラゲを思い浮べるので,日本名では木のクラゲの意である。上面は紫褐色でやや皺を生じ,下面は淡い赤褐色で平滑である。乾くと革質になり,色も黒紫色となる。子実体の横断面を顕微鏡で調べると,裏面に近い層には寒天質中に細い菌糸が縦に密に並び,その間に担子器をまばらに生じる。担子器は菌糸よりも太く,長円筒形で,下部は細い柄になっている。やがて横に3隔壁を生じて4細胞となり,そのおのおのの上端から長い担子柄を出して,その先端が子実体下面の表面に達すると,そこに担子胞子を生じるようになる。担子胞子は腎臓形で無色である。本種は広く熱帯・亜熱帯に分布するが,日本ではアラゲキクラゲと称し,キクラゲとよく似ているが,形が大きく,上面に灰褐色の短い粗毛が密生している種がきわめて普通にみられる。両種とも食用のため市販されている。

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百科事典マイペディア 「キクラゲ(木耳)」の意味・わかりやすい解説

キクラゲ(木耳)【キクラゲ】

世界中に分布するキクラゲ科のキノコ。夏〜秋,広葉樹の枯木,倒木上に群生。体は人の耳たぶ状で径数cm,薄く寒天質で,かわくと軟骨質となる。上面には微細毛を密生し,下面は平滑で担子胞子をつけ,かわくと黒色になる。舌ざわりがよく,食用,特に中華料理に重用される。別科のシロキクラゲは純白で八重咲きの花のような形状を示す。食用。
→関連項目中国料理

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