日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガーター(靴下留め)」の意味・わかりやすい解説
ガーター(靴下留め)
がーたー
garter
靴下留め。膝下(ひざした)または太もも丈の靴下が、ずり落ちるのを防ぐために用いる。紐(ひも)状、輪状のものなどがある。ガーターの使用は、靴下の使用とともに始まった。男子は中世以来、ホーズhose(タイツ状のズボン)や短い丈のズボンを着用したので、靴下は表着の一部としてみられ、ガーターも装飾的要素の強いものであった。膝の外側にリボンで結んだもの、テープ状のものをバックルで留めたもの、長い紐を交差させて結んだもの、レースの縁飾りを下げたものなど、はでなものが多かった。19世紀以降、長ズボンが一般的となり、ガーターが人目に触れることはなくなった。現代では、エラスティック糸を編み込んだ短靴下がはかれ、ガーターは用いられなくなった。
女子のガーターは長いスカートの下に隠されていたが、レースや装飾的な留め金付きのものが多かった。19世紀中ごろより、インドゴムの導入で伸縮性のある輪状のものが多くなり、19世紀末期には、留め金をコルセットの下端に取り付けたものや、靴下をつるサスペンダーが、ウエスト・ベルトに固定されたもの(ガーター・ベルト)が流行した。1960年代以降、パンティ・ストッキングの着用が一般的になるとともに、ガーターは下着の主流から遠ざかった。
[深井晃子]