ガリシア(英語表記)Galicia

翻訳|Galicia

デジタル大辞泉 「ガリシア」の意味・読み・例文・類語

ガリシア(Galicia)

スペイン北西端にある自治州リアス式海岸での漁業と内陸高原部での農業が盛ん。州都サンティアゴ‐デ‐コンポステラルーゴ世界遺産がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ガリシア」の意味・わかりやすい解説

ガリシア
Galicia

スペイン北西端の地方ラ・コルニャ,ルーゴ,オレンセ,ポンテベドラの4県からなる。花コウ岩質の険しいガリシア山塊は,最高峰マンサネダ山(1178m)を起点に,幾重にも山並みが放射状に広がる。大西洋気候のため温暖であるが,内陸部の冬は厳しい。スペインで最も多湿な地方で,サンチアゴ・デ・コンポステラはイベリア半島で最大の降雨量(年2000mm)を記録。主要産業は農業である。山岳地形のわりに多くの人口をかかえるため,農地は〈ミニフンディオ〉と呼ばれる細分割地からなり,生産性は低い。畜産酪農が盛んで,養豚はスペイン最大である。大西洋とカンタブリア海の海岸は無数の入江で形成され,天然の漁港に恵まれて,全国漁獲高の25%以上を占める。ガリシアは前6世紀ケルト人が植民し,スペインで最もケルト的要素が強く残っている。ゲルマン系のスエビ人が5世紀に侵入し独立王国を築いたが,6世紀後半西ゴート王国に併合された。730年にイスラム侵攻の波がガリシアにまで及んだが,再征服にいち早く着手していたアストゥリアス王国に吸収され,12世紀末にサンチアゴ・デ・コンポステラへの巡礼が開始された。18世紀末の通商の自由が確立されて以来,ラ・コルニャが植民地貿易に加わり,同時にガリシア人のアメリカへの移民が始まった。今日のガリシア語は11世紀にこの地方で成立したロマンス語に由来し,それから派生したのがポルトガル語である。
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百科事典マイペディア 「ガリシア」の意味・わかりやすい解説

ガリシア

スペイン北西端の地方。ラ・コルニャ,ポンテベドラ,ルーゴ,オレンセ4県で自治州を形成。州都はサンチアゴ・デ・コンポステラ。丘陵性の山地で占められ,全般に海洋性気候で,年降水量もスペイン中で最も多い(1000〜1500mm)。ケルト系ガリシア人が多く,ポルトガル語に近いガリシア語が用いられる。漁業が盛んで,イワシの漁獲が多い。農業は細分割地が多く生産性が低いが,畜産・酪農が盛ん。前6世紀にケルト人,5世紀にゲルマン系のスエビ人が侵入。8世紀初めにイスラム教徒が侵入したが,キリスト教側が再征服し,アストゥリアス王国に吸収。12世紀末からのサンチアゴ巡礼が有名。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ガリシア」の解説

ガリシア
Galicia

スペイン北西部の地方。ポルトガル語と起源を同じくする固有言語ガリシア語を有す。中心都市サンティアゴ・デ・コンポステラの大聖堂へは,中世にヨーロッパ各地から多くの巡礼者が訪れた。零細な土地所有を特徴とする貧しい農村地域で,18世紀に国内唯一の市場向け亜麻織物の産地となるが,19世紀に工業化は挫折し,多くの移民を国内外に送り出した。民主化後,カタルニャバスク地方とともに「歴史的自治州」として自治権を獲得。

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