ガマ科(読み)がまか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガマ科」の意味・わかりやすい解説

ガマ科
がまか
[学] Typhaceae

単子葉植物。大形の湿生多年草。太い根茎があり、根茎はデンプンに富む。葉は互生し、葉身と葉鞘(ようしょう)からなり、ほとんど根生する。浅い水中や湿地に生育する。ガマ属では花は風媒、単性で雌雄同株につき、無数に集合して円柱状の花穂(ガマの穂)をつくる。花穂の上部は雄花部、下部は雌花部である。雄花には1~3(~8)本の雄しべと0~数本の剛毛状の花被片(かひへん)、雌花には1心皮性の1本の雌しべと多数の剛毛状の花被片がある。葯(やく)および柱頭はそれぞれ互いに密接して、花穂の表面を形成する。1属約10種があり、日本には3種が自生しており、雑種もみられる。

[清水建美 2019年6月18日]

 ミクリ属では花は集合して球形の花序をつくる。雌雄同株で上部の花は雄花、下部は雌花からなる。花被片は3~6本、雄花には3~6本の雄しべがあり、花粉は風で運ばれる。北半球の温帯から亜寒帯に約19種が分布する。

 APG分類ではミクリ属もガマ科に含まれる。

[編集部 2019年6月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガマ科」の意味・わかりやすい解説

ガマ科
ガマか
Typhaceae

単子葉植物タコノキ目の1科。新旧両大陸の熱帯から温帯の水湿地に生じ,1属 (ガマ属 Typha) 約 10種がある。多年草で,地下の泥中に太い根茎をもち,茎の上半部は水面上に高く出る。葉は線形で茎よりも長く,基部は鞘となって茎を抱く。花茎は株の中央から直立し,無数の微小な花が密に集って太い円柱状の花序 (いわゆる蒲の穂) をつくる。花茎の上部につく穂は雄花群で通常は淡色,下半部に集るのは雌花群で濃褐色または緑褐色。花被はなく,雄花には2~5本のおしべ,雌花には1個のめしべがある。果実紡錘形痩果となり,上端に長い毛があってタンポポの実のように風で飛ぶ。

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