ガニ(英語表記)Ghani, Ashraf

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガニ」の意味・わかりやすい解説

ガニ
Ghani, Ashraf

[生]1949.5.19. ローガル
アシュラフ・ガニ。アフガニスタンの政治家。大統領在任 2014~21)。パシュトゥン人(アフガン人)のアフマドザイ部族の家庭に生まれた。カブールの高校で学んだのちレバノンへ赴き,1973年ベイルート・アメリカン大学を卒業。1974~77年カブール大学で人類学を教え,1977年アメリカ合衆国で人類学を学ぶため再びアフガニスタンを離れたが,1978年に起こった親ソビエト連邦派の軍事クーデター(→アフガニスタン紛争)で帰国できなくなった。1983年にコロンビア大学で人類学の博士号を取得後,カリフォルニア大学バークリー校,ジョンズ・ホプキンズ大学教鞭をとった。1991年から世界銀行に勤務,その後 10年間は発展途上国の国家機関の構築と改革に注力した。2001年にタリバン政権が崩壊すると帰国し,国連事務総長特別代表でアフガニスタン担当のラハダル・ブラヒミの顧問を務め,民政移行への道筋を決めるボン合意の策定に密接にかかわった。また,ハミド・カルザイ暫定政権の助言者としても活躍し,2002年から 2004年まで財務大臣を務め,新通貨への切り替えを成功へ導いた。2004年カブール大学の学長就任。2009年大統領選挙に出馬するも落選。2014年の大統領選挙では,結果をめぐってアブドラ・アブドラ元外務大臣との間で長い膠着状態が続いたが,アブドラを首相職に相当する行政長官とすることで合意し,大統領に就任した。2019年の大統領選挙でも不正投票をめぐってアブドラ側と対立したが,2020年2月に再選が認められた。国内安定化をはかるため旧政権勢力タリバンとの交渉に臨んだが難航,駐留アメリカ軍の撤収が進むなか 2021年8月中旬に首都カブールがタリバンに制圧されたのをうけて,国外に逃亡した。

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