ガス抜き(読み)ガスヌキ(英語表記)gas drainage

デジタル大辞泉 「ガス抜き」の意味・読み・例文・類語

ガス‐ぬき【ガス抜き】

[名](スル)
炭坑などで、ガス爆発ガス突出を防止するため、メタンガスを含む炭層岩盤に多数の穴をあけ、ガスを除去すること。また、スプレー缶ライターなどの中のガスを排出すること。そのための道具
パンなどを作る際に行う作業の一つ。イースト菌の発酵によって膨らんだ生地を軽くたたいて平らにすること。中の気泡がつぶれて空気が抜ける。パンチ
不満や精神的なストレスなどがたまったとき、それが噴き出す前になんらかの方法で解消すること。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ガス抜き」の意味・わかりやすい解説

ガス抜き (ガスぬき)
gas drainage

炭鉱メタンガスの排除法の一つ。ガスを切羽や通気坑道に流出させないために,炭層や隣接層からガスを直接吸い集め,坑内気流中に混じらないよう鉄管を通して坑外に誘導することをいう。従来,可燃性ガスを通気によって薄めて坑外に排出しているが,採掘深度が増すにつれてガス発生量が増加し,これを規定以下の濃度に保つには大量の通気量が必要となる。そのためには大きな扇風機と大断面の坑道が必要で,技術的,経済的な困難が伴う。ガス抜きはこれを打開する一方法で,1730年ころイギリスで立坑開削中にガスを捕集したのが世界におけるガス抜きの始まりといわれている。日本では,1934年北海道の新幌内炭鉱で採炭跡の密閉個所内のガスを坑外に誘導して利用したのが初めとされている。現在のようなボアホールと呼ばれるガス抜き孔による積極的なガス抜きは,43年ドイツのマンスフェルトMansfeld炭鉱で開始され,以後広く普及した。炭層の上位あるいは下位の坑道から炭層に向けてボアホールをあけてガスを捕集する地山ガス抜き,沿層坑道から直接炭層にボアホールをあける沿層ガス抜き,密閉個所にパイプを入れてガスを捕集する密閉ガス抜き,地表から炭層にボーリングを下ろす地表ボーリング等があるが,いずれもボアホールに鉄管を挿入し,さらに坑外まで鉄管を敷設してブロワーで濃厚なメタンガスを吸引し,暖房自家発電等に利用している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガス抜き」の意味・わかりやすい解説

ガス抜き
ガスぬき
gas drainage

炭層石炭の採掘跡などから濃厚なメタンをボーリングパイプ,ガス抜き専用坑道などを利用して誘導すること。炭層には多量のメタンが含まれていて,採炭時および採掘跡からこれらのメタンが坑内空間に湧出してくる。メタンは空気中に5~15%含まれていると爆発性があって危険なので,採掘前に炭層にボーリングを行い,できるだけ抜き出しておく必要がある。この方法で一般に炭層中のメタンの 30~60%を抜き出すことができる。技術的には地山ボーリング法,上下盤ボーリング法,ガス抜き坑道法,払跡密閉法などがある。坑内でボーリングするほか,坑外から地下へボーリングして行うこともある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「ガス抜き」の解説

ガス抜き

 パン製造では,直(じか)ごね法でドウ中に生成したガスを抜くこと.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android