日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガス(気体)」の意味・わかりやすい解説
ガス(気体)
がす
gas
物質の集合状態の一つである気体のこと。日常生活では、都市ガス、火山などの噴出ガス、海上や山岳で発生する煙霧(えんむ)、身体内あるいは腐敗物などから発酵によって生じるガスなどをさす。工業上では、燃料や原料として用いるガスのことをいう。燃料ガスは、天然に産する天然ガスと製造ガスに大別される。後者には、石炭やコークスのような固体燃料からつくられる石炭ガス、水性ガス、発生炉ガスや、原油、ナフサなどの石油系原料をガス化して得られるもの、さらには副生品ともいえる高炉ガス、オフガスなどがある。それぞれ成分は異なるが、中カロリーの水素、一酸化炭素、高カロリーのメタンをはじめとする炭化水素類を含んでいる。液体、固体燃料に比べて燃焼効率が高く、安定して燃焼でき、不純物が少ないなどの種々の利点を有する。これらのガスを利用する工業としては、火力発電、都市ガス、鉄鋼、石油精製、石油化学、合成化学、窯業などがある。
[富田 彰]
[参照項目] |