カーンプル(英語表記)Kānpur

デジタル大辞泉 「カーンプル」の意味・読み・例文・類語

カーンプル(Kanpur)

インド北部、ウッタルプラデシュ州都市。旧称カウンポール。ガンジス川西岸に位置する。同州最大の商工業都市で、交通の要衝織物・機械などの工業が盛ん。人口、行政区255万、都市圏272万(2001)。

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改訂新版 世界大百科事典 「カーンプル」の意味・わかりやすい解説

カーンプル
Kānpur

インド北部,ウッタル・プラデーシュ州中央部の大工業都市。旧名カウンポールCawnpore。同名県の県都で,州都ラクナウの南西80km,ガンガー(ガンジス)川の右岸,鉄道・道路の重要な結節点に位置する。人口253万2138(2001)。1801年にアウド藩王国の太守によりイギリス東インド会社に割譲され,北西インドへのイギリス勢力進出の前線基地となった。セポイ反乱(1857)の際には,ナーナー・サーヒブ軍がイギリス人を皆殺しにした町として有名。63年にカルカッタと鉄道で結ばれ,85年までには軍需用の皮革・羊毛・綿織物業などが勃興し,インド大平原中部で随一の工業都市を形成した。第1次世界大戦中に小火器類の軍需工業を加え,ヨーロッパ戦線のイギリス軍を助け,第2次世界大戦では,東南アジアのイギリス軍の兵器製造基地として発展した。独立後も各種工業の集中が飛躍的に進み,インド大平原最大の内陸型総合工業都市に成長した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーンプル」の意味・わかりやすい解説

カーンプル
Kānpur

インド北部,ウッタルプラデーシュ州中央部の商工業都市。カーンプル県の行政庁所在地。ラクノー南西約 75km,ガンジス川沿岸に位置。 18世紀までは村落にすぎなかったが,イギリス東インド会社がここを前進基地として重視してから人口が集中。 1857年のインド大反乱の激戦地で,現在も陸軍の兵営や空軍基地がある軍事上の要地。年降水量は約 800mmで夏季は乾燥するが,ガンジス川からの用水路により,周辺は米,コムギ,雑穀サトウキビ,綿花などの生産が豊か。大規模な機械工業,綿工業をはじめ,皮革,化学精米製糖製粉,搾油などの盛んな工業都市で,綿製品,雑貨,砂糖,香料,穀物の大規模な卸売り業が集中。鉄道,道路,空路の大結節点で,交通の要衝。かつてアーグラ大学に属していた多くのカレッジは,1966年に創立されたカーンプル大学に移管され,ほかにラクノー大学の医学部やインド工学研究所がある。人口 195万 8282 (1991) 。

カーンプル
Khānpur

パキスタン北東部,パンジャブ州の町。バハワルプールの南西約 130kmに位置する。国鉄バハワルプール-ハイデラバード線の主要駅の一つで,インダス河畔チャチャランまでの支線の分岐点。米,コムギ,綿花などの集散地として発達,綿紡,織機工業などがある。この地域では,パキスタンの代表的な伝統工芸である真鍮細工が盛ん。人口7万 589 (1981) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーンプル」の意味・わかりやすい解説

カーンプル
かーんぷる
Kanpur

インド北部、ウッタル・プラデシュ州最大の都市。ヒンドスタン平野の中央部に位置し、ガンジス川に沿う工業都市、交通中心地である。人口253万2138(2001)。19世紀以降、物資の集散や近代工業の集積によって発達した。19世紀後半、周辺の綿作地域を控え綿紡織工業がまずおこり、皮革、毛織物工業が続いた。第一次世界大戦後インドの軍工廠(こうしょう)が置かれた。これによって金属・機械工業が発達し、さらに油脂工業を加えて、総合型内陸工業都市となった。市街地はガンジス川の右岸に沿って細長く延び、市街の南側に広い工廠と兵営基地が広がる。新市街が西側に拡大されてきたが、カーンプル駅から中心市街地にかけては商店や住宅が過度に密集し、住民は工場労働者が多い。

[村上 誠]

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百科事典マイペディア 「カーンプル」の意味・わかりやすい解説

カーンプル

インド北部,ウッタル・プラデーシュ州中部,ガンガー右岸の都市。交通の要地,州内工業の中心。繊維(羊毛,綿),機械,鋳鉄,皮革,化学などの各種工業が行われており,工業団地や工業大学(1960年創立)がある。276万7031人(2011)。

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