精選版 日本国語大辞典 「カール」の意味・読み・例文・類語
カール
カール
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山岳氷河の浸食作用によって形成された氷河地形の一種。谷氷河によってつくられた氷食谷(U字谷)の谷頭部に位置し,圏谷(けんこく)とも呼ばれる。山頂あるいは稜線との間は急な圏谷壁となっており,この谷壁で馬蹄形に囲まれるようにして,比較的平らな圏谷底がみられる。形態が円形競技場(ラテン語circus)に似ており,英・仏語ではcirqueという。圏谷が背中合せとなる稜線はぎざぎざなやせ尾根(ナイフ・リッジ)となり,グラートGrat,アレートarêteなどと呼ばれる。三つ以上の圏谷に囲まれた山頂は角錐形となり,ホルンと呼ばれる。圏谷底は周囲の圏谷壁からの崖錐に埋められやすいが,逆傾斜をするように深く圏谷底が削られた場合には圏谷湖が見られることもある。
この地形は主として最終氷期(6万~1.4万年前)の氷河拡大期に形成されたが,現在でも氷河氷が残っているものもある。これを圏谷氷河という。圏谷底はほぼ雪線の高さに形成されるので,圏谷が形成された当時(最終氷期)の雪線の高さを復元することができる。これを現在の氷河の雪線の高さと比較してみると,世界的にみて約1000mほど現在の方が高くなっている。そこで1000mにつき約6℃という気温の高度減率を用いて,氷期には現在より気温が6℃ほど低かったなどと推定することができる。
日本では日本アルプスや日高山脈で多数の圏谷地形を見ることができる。圏谷底の標高はそれぞれ2600m,1600mくらいで,いずれもほぼ森林限界に一致している。圏谷底より上では山地斜面はハイマツなどの灌木林や草地(お花畑)などとなっており,急峻な圏谷壁ともあいまって,典型的な高山景観となる。圏谷底は平たんなこと,水の便があることなどの理由から,登山のベース・キャンプ地となり,山小屋が造られることも多い。
執筆者:野上 道男
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(2017-5-30)
アメリカの化学者.テキサス州にあるライス大学で学び,1957年カリフォルニア大学バークレー校で学位を取得.ハーバード大学を経て,1958年母校のライス大学に赴任し,1967年教授となった.星間分子の研究者としてH.W. Kroto(クロトー)とは長年の親交があり,1985年KrotoをR.E. Smalley(スモーリー)に紹介し,フラーレン発見のきっかけをつくった.この発見に対して,1996年Kroto,Smalleyとともにノーベル化学賞を受賞した.
アメリカの結晶学者.ニューヨーク市立大学で学び,1943年ミシガン大学で学位を取得.大学院時代に夫人のIsabellaと出会う.マンハッタン計画に従事した後,1946年海軍研究所に入所.1953年X線回折パターンから位相情報を得る直接法の数学的基礎を,同僚のH.A. Hauptman(ハウプトマン)とともに発表.その後,この方法をさまざまな結晶構造の解析に適用するため,同じく結晶学者である夫人のIsabellaとともに記号和の方法を開発した.結晶構造決定の直接法の開発で,1985年Hauptmanとともにノーベル化学賞を受賞した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…クロアール,リンネ,ルンゼなどいろいろの言葉が用いられるが,だいたい同義である。 カールKar[ドイツ]圏谷。氷河の頭頂部にある半椀状の地形。…
…また木曾山脈の樹木限界は,標高2500m付近にあるといわれているため,これより低い経ヶ岳・恵那山両地区では高山植生(お花畑や高木林)を観賞することはできない。駒ヶ岳地区の山稜部付近の砂礫地に生育する乾性高山植生は,濃ヶ池,駒飼ノ池,千畳敷,三ノ沢,池ノ平,摺鉢窪(すりばちくぼ)などのカールに見られる湿性高山植生と著しい対照をなし,高山景観に変化と情趣とを添えている。地質では経ヶ岳地区はおもに古生界からなり,駒ヶ岳・恵那山両地区はおもに中生代の貫入になる花コウ岩,流紋岩などからなる。…
…既存の河食を受けた山地の起伏に順応して着生した氷河が山地氷河で,その氷食の結果は特徴的な高山地形alpine landformを現出する。谷奥にみられる圏谷(カール)の場合,圏谷氷河の底部は氷河の移動による圧力の変化によって凍結融解現象がおき,底部に接する岩石を破砕する。さらに巨大な氷体の圧力と独特の回転運動によって,氷と岩屑が削磨作用を及ぼし,平たんまたは凹形の圏谷底をつくる。…
…地形学が地学の中で一大分科をなしているのは,地質・岩石を超越して地形独自の一般性が認められるからである。例えば氷河による浸食地形の典型として圏谷(カール)地形がある。圏谷は山地氷河が谷頭部集水域で,氷体独自の回転運動,氷体の及ぼす底部への重圧と氷体周縁の霜の浸食作用が合作することにより形成される半環状の岩壁をめぐらした特徴的な地形である。…
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[近代的登山の発展]
近代的登山の幕開けとなったのはアルプスの最高峰モン・ブラン(4807m)登頂である。1760年,ジュネーブの自然科学者H.B.deソシュールはフランスのシャモニを訪れ,モン・ブランの初登頂者に賞金を出すことを提唱し,これにこたえ86年シャモニの医者M.G.パカールと案内人の水晶取りJ.バルマが登頂に成功した。ソシュール自身も翌年登頂している。…
…またこれらの地形から,かつての氷河の流動方向を知ることができる。 5万分の1の地形図に表現される程度の大きさの地形としては,氷食岩峰,カール(圏谷),氷食谷などがある。谷の最上流部にはアイスクリームをスプーンでしゃくったような形をしたカールが形成される。…
※「カール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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