カーソン(読み)かーそん(英語表記)Rachel Louise Carson

デジタル大辞泉 「カーソン」の意味・読み・例文・類語

カーソン(Rachel Louise Carson)

[1907~1964]米国の女性海洋生物学者・作家。農薬などの化学薬品による環境汚染を指摘した「沈黙の春」は、世界に大きな衝撃を与えた。他に海洋生物の生態を描いた「われらをとりまく海」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーソン」の意味・わかりやすい解説

カーソン
かーそん
Rachel Louise Carson
(1907―1964)

アメリカの海洋生物学者、作家。ペンシルベニア州スプリングデール生まれ。ペンシルベニア女子大学、ジョンズ・ホプキンズ大学動物学科大学院に学び、1932年修士号を取得。メリーランド大学で短期間教鞭(きょうべん)をとったのち、政府の漁労野生生物局に海洋生物学者として入り、のちにウッズ・ホールとボーフォートの海洋生物学研究所に勤めた。少女時代から文章家を目ざし、農薬の危険性を警告した『沈黙の春――生と死の妙薬』(1962)によって世界的名声を博した。この著作は文明諸国に大きな衝撃を与え、自然保護や環境保全の重要性を認識させる先駆けとなった。

藤原英司

『青樹簗一訳『沈黙の春――生と死の妙薬』(新潮文庫)』

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百科事典マイペディア 「カーソン」の意味・わかりやすい解説

カーソン

米国のグラフィックデザイナーテキサス生れ。大胆なタイポグラフィーを駆使した雑誌デザインで注目を集める。《トランスワールド・スケートボーディング》(1983年),サーフィン雑誌《ビーチカルチャー》(1989年―1991年),オルタナティブ・ミュージック雑誌《レイガン》(1992年―1995年)等のアートディレクターを担当。いずれも判読性の価値基準や従来のセオリーを超えたタイポグラフィーを展開し,強烈な視覚的インパクトを生み出す。コラージュのように文字を切り刻み,重なり合わせたスタイルは,大きな影響を与え,1990年代を代表するアメリカのデザイナーの一人と目される。ナイキコカ・コーラの広告も手がけている。

カーソン

米国の生物学者,作家。研究生活の後,商務省漁業水産局に就職,機構改革により1940年に内務省魚類・野生生物局に転じ,1952年に退職するまで野生生物とその保護に関する情報収集に当たった。その仕事のかたわら野生生物の詳細な観察を詩情豊かに記述する著作活動を続け,自然保護を訴えた。代表的な著作が1962年に完成した《沈黙の春》。カーソンは当時,飛行機から散布されていたDDTなどの農薬による環境汚染と自然破壊の危険性を警告,当時農薬使用量が増加しつつあった米国やヨーロッパの先進諸国に大きな衝撃を与えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「カーソン」の意味・わかりやすい解説

カーソン
Kit (Christopher) Carson
生没年:1809-68

アメリカ西部の代表的な〈山男〉。1842年から46年にかけてジョン・C.フレモントの大規模な西部探検の案内人をつとめ,勇名をはせた。米墨戦争に際しスカウト(斥候)としてカリフォルニア獲得に活躍南北戦争では北軍義勇隊を組織して奮戦し,准将にまでなった。インディアン相手の活劇など,生前から伝説も多い。ネバダ州の州都カーソン・シティは彼の名をとったもの。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーソン」の意味・わかりやすい解説

カーソン
Carson, Rachel (Louise)

[生]1907.5.27. ペンシルバニア,スプリングデール
[没]1964.4.14. メリーランド,シルバースプリング
アメリカの科学評論家,生物学者。ペンシルバニア女子大学で動物学を専攻し,ジョンズ・ホプキンズ大学大学院,ウッズホール海洋生物学研究所などで研究を続けたのち,メリーランド大学で教えた (1931~36) 。 1936年8月商務省漁業水産局に入る。政府刊行の雑誌"Fish and Wild Life"の編集長 (49~52) 。退職後,著作活動を通じて農薬や公害による環境破壊を警告し,とりわけ 62年に出版された『沈黙の春』 Silent Springは各国で大きな反響を呼んだ。

カーソン
Carson, Edward Henry, Baron of Duncairn

[生]1854.2.9. ダブリン
[没]1935.10.22. ケント,ミンスター
アイルランド出身のイギリスの政治家,弁護士。下院議員,アイルランド法務次官を歴任。アルスター統一党の指導者でアイルランド自治法案に抵抗。アルスターと南部の分離に賛成。第1次世界大戦中 H.アスキス内閣の法務長官,ロイド・ジョージ内閣の海相。 1921年政界を退き男爵となり,司法職についた。

カーソン
Carson, Christopher

[生]1809.12.24. ケンタッキー,マディソン
[没]1868.5.23. コロラド,リオン砦
アメリカの毛皮取り猟師。「キット・カーソン」の愛称で知られる。ガイドで,インディアンの担当官となる。軍人として対インディアン戦争でも活躍した。アメリカ西部開拓時代の典型的西部人。

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世界大百科事典(旧版)内のカーソンの言及

【カーソン・シティ】より

…1858年にできた町で,カリフォルニアへの駅馬車ルートにあった。市名は有名な辺境開拓者キット・カーソンにちなんだもの。北東25kmにあるバージニア・シティ地域における1859年の銀鉱脈の発見や他の鉱山の発達によって,物資補給地として活気をおびた。…

【ナバホ族】より

…長期にわたり植民者と衝突をくり返したことでも知られる。1864年のK.カーソン率いる合衆国陸軍との最後の戦闘の後,サムナー砦(ニューメキシコ州)に強制的に移動させられたが,68年に条約を締結し,現保留地に移った。 現在,ウィンドー・ロック(アリゾナ州)を首都とするナバホ・ネーションを形成している。…

※「カーソン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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