カーザック(英語表記)Kasack, Hermann

精選版 日本国語大辞典 「カーザック」の意味・読み・例文・類語

カーザック

(Hermann Kasack ヘルマン━) ドイツ小説家詩人。超現実的手法によって、人間危機を比喩的、風刺的に描く。代表作は「流れの背後の市」、詩集「永遠の存在」など。(一八九六‐一九六六

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーザック」の意味・わかりやすい解説

カーザック
Kasack, Hermann

[生]1896.7.24. ポツダム
[没]1966.1.10. シュツットガルト
ドイツの小説家,詩人。医師の子として生れ,ベルリン,ミュンヘン両大学で文学経済学を学ぶ。その頃から著作を始め,表現主義的な詩集『人間』 Der Mensch (1918) などを出した。ナチス時代は出版社に勤務。第2次世界大戦後,小説『流れの背後の町』 Die Stadt hinter dem Storm (47) で,その名を世界的なものにした。死の国と同一視される町の一代記をカフカ的手法で描いたもので,ヨーロッパ運命を暗示している。ほかに,全体主義国家をシュルレアリスム的手法で活写した『織機』 Der Webstuhl (49) ,『巨大な網』 Das gross Netz (52) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーザック」の意味・わかりやすい解説

カーザック
かーざっく
Hermann Kasack
(1896―1966)

ドイツの詩人、小説家。ポツダム生まれ。出版社勤務のかたわら創作に励み、初期の作品に詩集『人間』(1918)、『島』(1920)その他がある。第二次世界大戦後に発表した小説『流れの背後の町』(1947)で、すべてが機械的に無目的に進行する死者の世界を描き、そのカフカ的な手法が注目をひいた。続いて短編『織機』(1949)、長編『大きな網』(1952)を発表したが、『織機』には巨大なじゅうたんを生産するために厳しい官僚システムを採用した国が、ついに経済と文化の潜在能力を窒息させてしまう過程が描かれている。

[武田昌一]

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