カンラン(寒蘭)(読み)かんらん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンラン(寒蘭)」の意味・わかりやすい解説

カンラン(寒蘭)
かんらん / 寒蘭
[学] Cymbidium kanran Makino

ラン科(APG分類:ラン科)の多年草東洋ランの1種。葉は細長く50センチメートル、濃緑色で表面は光沢があり革質。線状葉は直上し、先端はしなやかに屈曲する。花茎は11月から翌年の1月ころ、葉間から束生し40~50センチメートルとなり、5~12個の花を総状につける。花は芳香があり、花径5~6センチメートルで赤褐色の条斑(じょうはん)がある。細くとがった外弁は開出し、内弁は突き出る。舌弁は3裂し、前裂片は下方より後方に反り返る。本州の中部地方南部から沖縄に自生するが、少なくなっている。園芸品種としては、舌弁に砂状の斑点が散在する月光や、白色覆輪の雪光(せっこう)、平重(ひらがさね)などのほか、南国(なんごく)、折鶴(おりづる)などもある。植え替えは4、5月か10月ころにする。

[猪股正夫 2019年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンラン(寒蘭)」の意味・わかりやすい解説

カンラン(寒蘭)
カンラン
Cymbidium kanran

ラン科シュンラン属の地生ランで紀伊半島,九州,四国などの樹林下に自生する。シュンランなどとともに東洋ランの仲間として扱われ,気品のある草姿から愛好者が多い。線状の葉は根出し,弧を描くようにしなる。 50cm前後の花茎に5~10花を咲かせ,花被片は細く先端がとがるのが特徴。花色は淡緑色,黄緑色,桃色,紫紅色などで,筋や斑 (ふ) の入り方が異なるさまざまな種類がある。品種数は数千に及ぶが,野生では採取されつくして,絶滅に近い状況にある。開花期は 10月~1月。冬は寒風を避けて日にあて,夏は直射日光があたらない半日陰がよい。四季を通じてやや乾燥ぎみに管理し,肥料焼けを起こしやすいため,施肥はかなり控えめにする。

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