カンタリジン

百科事典マイペディア 「カンタリジン」の意味・わかりやすい解説

カンタリジン

化学式はC1(/0)H12O4。ツチハンミョウ,マメハンミョウなどの甲虫が分泌する無水酸。人に触れると皮膚内に浸透し,種々の刺激作用を呈し,排出に際して強く尿路を刺激し腎炎を起こすこともある。日本薬局方カンタリスは0.6%以上のカンタリジンを含み,皮膚刺激剤,発泡剤として用いられる。
→関連項目ツチハンミョウマメハンミョウ

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世界大百科事典(旧版)内のカンタリジンの言及

【アオカミキリモドキ】より

…6月ごろにもっとも多く発生し,主として雄が灯火に飛来する。体液にカンタリジンと呼ばれる有毒物質を含み,この液による水泡性皮膚炎が知られている。6~7月ごろスギなどの針葉樹の朽木に乳白色でバナナ形の卵を固めて産みつける。…

【カミキリモドキ】より

アオカミキリモドキXanthochroa waterhousei(イラスト)などは日没ごろより活動し,灯火にも飛来する。この科にはカンタリジンcantharidineと呼ばれる毒液を出すものが少なくない。この液は皮膚につくと水疱性皮膚炎を起こすことがあり,英名もこれによる。…

【強精剤】より

…これも大量投与により延髄麻痺をきたし,痙攣(けいれん)や呼吸麻痺,心臓停止に至る危険がある。刺激して勃起を促すという考えで用いられるのがカンタリジンや揮発油である。これらを内服すると尿中に排出されるとき尿路で刺激性を現し,それによって勃起が促される。…

【催淫薬】より

…薬理学的には交感神経の受容体遮断薬である。カンタリジンや揮発油は,内服後排出されるときに尿路で刺激性を現し,勃起を促進するが,腎臓通過の際に腎炎を起こす危険がある。間接的に作用するものとしては,大麻,モルヒネ,アルコールなどがあげられる。…

【ハンミョウ(斑猫)】より

…【林 長閑】
[ハンミョウと人間]
 漢方の斑猫(はんみよう)(斑蝥(はんぼう))はほんとうのハンミョウではない。すなわち身体にカンタリジンを含み,発疱剤,利尿剤,そして媚薬として用いられる斑猫は,ツチハンミョウ科に属し,カンタリジンを含まないハンミョウは,ハンミョウ科に属する昆虫である。カンタリジンはきわめて強い毒物質で,約30mgが致死量であるという。…

【マメハンミョウ】より

…1年に1世代。成虫の体には刺激性の物質カンタリジンを含むため,乾燥させてカンタリス(刺激・発泡薬)として古くから用いられてきた。しかし副作用があるため,今日では一般には用いられない。…

※「カンタリジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」